花のように儚く、春風のように駆け抜けたキャンディーズ（1970年代）

花のように儚く、春風のように駆け抜けたキャンディーズ（1970年代）

キャンディーズは伊藤蘭、田中好子、藤村美樹の三人で構成された1970年代を代表する女性アイドルグループである。1973年に「あなたに夢中」でデビューしたが、人気が本格化したのは1975年の「年下の男の子」であった。この曲の明るさとキャッチーなメロディは瞬く間に若者の心をつかみ、キャンディーズは一気に国民的アイドルの座を得た。続く「春一番」では春の訪れを青春の輝きに重ね、世代を超えて歌い継がれる名曲となった。「暑中お見舞い申し上げます」は夏の開放感を描き出し、さらに解散直前の「微笑がえし」はグループの活動を締めくくる内容でオリコン1位を獲得し、ファンに深い感動を与えた。彼女たちの魅力は「等身大の女の子らしさ」にあり、同時代の美空ひばりや山口百恵が圧倒的な歌唱力や大人への�
�行を表現したのに対し、キャンディーズは親しみやすく明るい存在として時代を彩った。ピンク・レディーが派手なパフォーマンスで社会現象を起こした一方で、キャンディーズは家庭的で素朴な魅力により幅広い層に支持された。1977年に「普通の女の子に戻りたい」と宣言し、1978年後楽園球場での解散コンサートで幕を閉じたが、その突然の別れは伝説的な出来事として語り継がれている。解散後、伊藤蘭は女優、田中好子はドラマや映画で活躍し、藤村美樹もソロ活動を行った。キャンディーズは女性アイドルグループの原型を築き、その影響は松田聖子から現代のアイドルまで連なっている。