迫り来る影 ― 不況下に潜む企業病理と1977年の現実

迫り来る影 ― 不況下に潜む企業病理と1977年の現実

1970年代後半、日本は高度経済成長の終焉を迎え、第一次オイルショックの衝撃がなお尾を引いていた。原油価格の高騰は製造業に打撃を与え、従来の大量生産と大量消費のモデルは行き詰まり、物価上昇と景気後退が同時に進むスタグフレーションに直面した。企業内部では、終身雇用や年功序列が安定を保証する一方で硬直化を招き、現場の活力が失われていった。経営層は売上減少や利益低下への有効な手立てを示せず、保守的な維持に傾く中、官僚主義が強まっていった。こうした状況は「企業病理」として指摘され、単なる一企業の問題ではなく時代そのものの停滞を象徴する現象とされた。当時の社会では、公害問題に続いて物価高や雇用不安が人々を直撃し、労使の対立も激化していた。記事が強調したのは、高度成長�
�に覆い隠されていた矛盾が不況の時代に一気に噴き出し、組織と社会を蝕む病のように広がったという現実である。これはバブル期を迎える前夜の不安と緊張を鮮明に映し出す記録でもあった。