バイオマスのメタン発酵技術 ― 廃棄物処理と再生可能エネルギーの接点（1990年代後半）

バイオマスのメタン発酵技術 ― 廃棄物処理と再生可能エネルギーの接点（1990年代後半）

1990年代後半、日本では食品廃棄物や農業残渣の増加が社会問題化していた。従来は焼却処理が中心で、ダイオキシン発生やCO₂排出が批判される中、循環型社会をめざす技術として注目されたのがバイオマスのメタン発酵である。この技術は有機性廃棄物を嫌気性微生物で分解し、メタン主体のバイオガスを生成する仕組みで、発電や熱利用に活用でき、残渣は肥料として農地へ還元可能だった。単なるごみ処理ではなく、廃棄物を資源に転換する発想を体現していた。1997年の京都議定書採択を背景に、温室効果ガス削減と再生可能エネルギー導入の両立が求められ、国内でも実証プラント建設が進展。特に自治体で焼却施設に代わる新しい選択肢として検討され始めた。欧州では既に普及が進んでおり、日本もその後を追う形で研�
�開発を加速した。この流れは2001年の食品リサイクル法や2002年のバイオマス・ニッポン総合戦略へと結びつき、循環型社会の制度基盤形成に大きな影響を与えた。