Sunday, September 28, 2025

ドイツのエネルギー政策と石油消費の変遷:1995年から2020年代

ドイツのエネルギー政策と石油消費の変遷:1995年から2020年代

序章:1995年以前の状況
1995年、ドイツのエネルギー政策はまだ化石燃料への依存が高い段階にありました。石油消費量は約133000000トンで、一次エネルギーに占める割合は40.3%を記録していました。特にガソリン消費量は29800000トン、ディーゼル燃料は25500000トンと多大なエネルギーが輸送分野で使用されていました。この時期には環境意識が徐々に高まり、リサイクル促進法などが制定されつつありましたが、エネルギー構造の転換には至っていませんでした。

第一期:再生可能エネルギーの基盤整備(2000年代)
2000年に施行された「再生可能エネルギー法(EEG)」は、ドイツのエネルギー政策における画期的な転機となりました。この法律により、風力発電や太陽光発電が急速に拡大し、2005年には再生可能エネルギーが国内発電量の約10%を占めるようになりました。特に北海やバルト海沿岸部では、E.ONやRWEといった主要エネルギー企業が大規模な洋上風力発電プロジェクトを進めました。

また、シュツットガルトではCNG(圧縮天然ガス)バスの導入が進み、公共交通機関の低炭素化が推進されました。同時に、エネルギー効率の向上を目的とした施策が進行し、建築物の断熱性能や産業界の省エネ技術が強化されました。

第二期:エネルギー転換期(2010年代)
2010年代は、ドイツがエネルギー転換(Energiewende)を本格的に推進した時代でした。2011年の福島第一原発事故を受け、原子力発電の廃止が決定され、2022年までに全ての原子炉を停止する方針が発表されました。同時に、再生可能エネルギーの割合が大幅に増加し、2014年には国内発電量の27%に達しました。この中で、風力発電が9.1%、太陽光発電が5.7%を占め、主要エネルギー源としての地位を確立しました。

石炭消費量も減少傾向にあり、2010年の124000000トンから2019年には90000000トンまで削減されました。特にベルリンやフランクフルトといった都市部では、石炭火力発電所の閉鎖が進み、再生可能エネルギーへのシフトが加速しました。

第三期:再生可能エネルギーと水素経済の確立(2020年代)
2020年代に入ると、再生可能エネルギーの割合は44.4%に達し、石炭火力発電の廃止を目指した「脱石炭法」が施行されました。この法律に基づき、2038年までに石炭火力発電所を完全に廃止する計画が進められています。

さらに、水素エネルギーが新たな柱として注目を集めています。2024年には、12500000ギガワットの水素対応ガス発電所の建設が計画されており、ハンブルクの港湾地区では液化天然ガス(LNG)から水素への転換プロジェクトが進行中です。バイエルン州では電解槽技術を活用した水素製造施設が建設されています。

主要エネルギー企業の貢献
RWEは2027年からザルツギッター製鉄所に年間64000000ギガワット時のグリーン電力を供給する契約を締結し、E.ONはスマートグリッド技術を導入して効率的な電力供給を実現しています。また、BASFはルートヴィヒスハーフェン工場で再生可能エネルギーの利用を拡大し、二酸化炭素排出量削減に取り組んでいます。

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