Friday, September 5, 2025

香川県高松市 ― リサイクルプラザの開設・1995年6月

香川県高松市 ― リサイクルプラザの開設・1995年6月

1990年代半ば、日本では都市部を中心にごみ処理問題が深刻化していた。最終処分場の逼迫や焼却施設の建設反対運動が各地で相次ぎ、廃棄物行政は転換を迫られていた。1991年に「リサイクル法」が施行され、さらに1995年には「容器包装リサイクル法」が成立し、国民生活の中で「資源循環」への意識を高める法制度が整えられた。こうした流れの中で地方自治体も独自の取り組みを進め、その象徴の一つが高松市のリサイクルプラザ開設であった。

1995年6月に完成した同施設は延べ床面積570㎡を有し、単なるごみ処理拠点ではなく、市民がリサイクルの意義を学び体験できる場として構想された。古紙を活用した紙漉き体験コーナーや再生製品の展示、学習スペースを備え、子どもから大人までが楽しみながら「ごみ=資源」という意識を育てられるよう工夫されていた。

背景には当時全国的に推進されていた「ごみ減量5カ年計画」や「ごみゼロ運動」があり、高松市はそれを地域レベルで具体化する形を取った。施設は市民が交流し、学校教育とも連携できる拠点としての性格を持ち、行政主導から市民参加型へと移行する先駆的な試みであった。

この事例は、従来の「焼却・埋立」中心から「資源循環・市民参加」へと移る転換点を示すもので、循環型社会形成の重要なステップとして全国の自治体に影響を与えたといえる。

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