沖縄に国際サンゴ礁センター構想 ― 1997年の国際環境協力の潮流
1990年代は国際的に生物多様性保全への関心が高まり、1992年のリオ地球サミット以降、熱帯林やサンゴ礁といった脆弱な生態系の保護が焦点となった。特にサンゴ礁は、気候変動や観光開発の影響による劣化が深刻化し、国連大学やIUCNを中心に「国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)」が立ち上げられた。その流れを受け、沖縄県に「国際サンゴ礁モニタリングセンター」を設置する構想が浮上した。東アジア最大級のサンゴ礁を抱え、地理的にもアジア太平洋の交差点である沖縄は、研究・調査・情報交換の拠点にふさわしいとされた。計画では海中公園センターに調査が委託され、国際ネットワーク(GCRMN)の一環としての機能が想定された。当時は観光開発やダイビングブームで沖縄のサンゴが荒廃し、加えて1997年のエルニーニ�
�で世界的な白化現象が進んだ時期でもある。この構想は地域振興と環境外交を結びつけ、日本が「環境大国」としての存在感を示そうとした動きであり、環境と経済の両立を象徴する試みとして位置づけられた。
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