森に灯る太陽の光―青森県外波グリーンパーク親不知の挑戦(1998年6月)
1990年代後半、日本はバブル崩壊後の停滞の中で、地球温暖化や酸性雨といった環境問題に直面していた。1997年の京都議定書採択を受け、地方でも再生可能エネルギー導入が推進され、省エネと地域振興を兼ねた取り組みが模索された。青森県外波の森林公園「グリーンパーク親不知」に導入された太陽電池による自家発電は、そうした時代を象徴するものである。
この公園は人里から離れており、従来は電力を引くコストが高いため、夜間照明が設置できず不便が続いていた。そこで太陽電池と蓄電池を組み合わせた自家発電が導入され、昼間の光を蓄え夜間に照明をともす仕組みが実現した。排ガスや騒音を出さず、自然環境と調和しながら利便性を高めた点は画期的であった。
導入技術は多結晶シリコン型ソーラーパネルと蓄電池、電力変換のためのインバーターが中心で、国の新エネルギー導入大綱に基づく補助制度も後押しとなった。この取り組みは、単なる施設改善にとどまらず、環境教育の場として利用者に「環境と快適性の両立」を体感させる機能も果たした。
外波の事例は、観光資源と環境技術を融合させた先進的実践であり、地方における再生可能エネルギー普及の方向性を示した。キャンプ場にともった太陽の灯りは、地域社会にとって持続可能な未来への象徴ともなったのである。
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