ごみの油田と2つの秤 2001年から2002年
2002年前後、プラスチックの行き先は2つの秤にかけられていた。欧州ではドイツのDSDが示す実績で、2001年度に容器包装のマテリアルリサイクルが51パーセント、ケミカルが49パーセントと、統計上はじめて前者が優位に転じる。制度とコスト最適化の帰結である。一方、日本では制度に支えられた油化拠点が立ち上がり、容器包装リサイクル法の油化処理事業所は2002年度で25か所に達した。札幌の拠点は東芝グループと三井物産、札幌市が担い手となった。
北九州エコタウンでは高野興産が有機溶剤のリサイクルと併設して廃プラスチック油化プラントを構築し、能力は年約1000トン。生成油は蒸留燃料として自社で使い、余剰を外販する設計で、油化を単独で完結させず周辺プロセスに結びつける現場流の最適化が図られた。
地方発の技術も芽吹く。帯広の協業組合北海道エコシスは、道内産の天然ゼオライトを触媒にポリエチレンを熱分解する油化技術の研究を進め、地域資源を生かした触媒設計で歩留まりと生成油質の底上げを狙った。
関連技術の文脈では、前処理で混合樹脂を破砕し、逆熱勾配や傾斜管を使って熱分解する装置が普及段階に入り、A重油相当の生成油を得ることが可能になっていた。油化で取り切れない部分はマテリアルに回し、生成油は自家燃料や外販で価値化する。すなわち、マテリアルとケミカルを束ねるハイブリッド運用という考え方である。
要するに、欧州の「まずはマテリアルを最大化」という潮流と、日本の「現場最適の油化モジュール」という解が、2本立てで進んだ時代だった。ケミカルは主役でなくとも、汚損や混合度の高い流れを受け止め、熱需要や溶剤プロセスに接続してこそ生きる。札幌と北九州の事例は、その運用知の実証であり、流通と装置と燃料先を一本の管でつなぐ、現実的な手並みを示していた。
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