生分解性樹脂の市場拡大 ― 2000年当時の背景と展望
2000年前後、生分解性樹脂は次世代素材として大きな注目を浴びた。背景には97年の京都議定書採択や廃棄物処理法、容器包装リサイクル法など国内外での制度強化があり、石油系プラスチックの大量消費と廃棄がもたらす環境問題が深刻化していた。とりわけ2001年施行予定の食品廃棄物リサイクル法を控え、実用化が社会的課題とされた。米国ではカーギルとダウが合弁し、年間14万トン規模のPLAプラントを建設。価格を石油系並みに近づけ、農業フィルムや食品包装への用途展開を目指した。日本ではユニチカや三菱樹脂などが販売契約を結び、フィルムや不織布としての利用を推進。欧州でもBASFがEcoflex、ノバモントがMater-Biを市場投入し、EUのコンポスト化政策に沿って普及を拡大した。当時、生分解性樹脂は1kgあたり120〜240円で
、石油系に競合可能な水準に近づき、原油価格の不安定さを背景に現実的な代替材として期待された。これらの動きは実証から産業化への転換点を示し、循環型社会形成と温暖化対策に結びついた。
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