Saturday, September 27, 2025

グリーンコンシューマーの広がり―2001年10月

グリーンコンシューマーの広がり―2001年10月

2001年当時、日本では循環型社会形成推進基本法(2000年施行)や家電リサイクル法(2001年4月施行)が立ち上がり、環境政策が社会に浸透し始めていた。こうした背景の中で、消費者自身の購買行動を環境配慮型へと転換する「グリーンコンシューマー運動」が注目を集めた。この運動は「必要なものを必要な量だけ買う」「過剰包装を避ける」「長持ちする製品を選ぶ」「リサイクル可能なものを優先する」といった「10原則」を基盤とし、従来の価格や利便性に加えて「環境価値」が商品選択の基準となることを促していた。

当時の日本では市場シェアはまだ数%と限定的だったが、都市部を中心に有機食品やリサイクル製品を扱う店舗が増え始め、10%を超える規模に拡大する兆しが見えた。これは企業にとっても消費者志向の変化に応じた製品開発や環境情報の公開を進める動機づけとなり、CSR(企業の社会的責任)という概念の浸透とも重なった。特に電機・化学メーカーではISO14001認証取得や環境報告書の発行が進み、グリーン購入ネットワーク(GPN)の活動が企業と自治体双方の調達方針に影響を与えた。

欧州、とりわけドイツでは既に消費者の8割が環境配慮商品を選択する段階にあり、日本との差は大きかった。しかしその存在は日本社会における「遅れている」という危機感を喚起し、行政と企業が一体となって普及を急ぐ動きを生んだ。グリーンコンシューマー運動は単なる個人の選択行為ではなく、制度・市場・企業行動を揺さぶる契機となり、今日の持続可能な社会に至る端緒を示したのである。

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