汚染土壌対策の新制度―2001年10月の「中間取りまとめ」とその後
2001年、環境省は土壌汚染対策の新制度に向けて中間取りまとめを公表した。制度の狙いは、人の健康を守るために汚染の把握、リスク低減、未然防止を一体で進めることにあった。事業場の廃止や用途変更を調査の契機とし、汚染が確認された土地は都道府県が台帳で管理。立入制限や覆土、舗装などによる暴露経路の遮断といったリスク管理を義務付ける方針が示された。報告はパブリックコメントに付され、中央環境審議会でも制度化に向け議論が進められた。
しかし制度設計には課題も多く、浄化費用の巨額化や責任の所在をめぐって経済界や法律家団体から意見が相次いだ。経団連は調査トリガーを廃止や用途変更に限定する考え方や費用負担の現実性に配慮を求め、日弁連は原因者負担原則の明確化や情報公開強化を提言した。公平性と実効性をいかに確保するかが焦点だった。
この流れは2002年の土壌汚染対策法制定へと結実し、2003年施行に至る。同法は健康リスクの観点から「要措置区域」と「形質変更時要届出区域」を指定し、調査や措置、情報管理を制度化した。背景には、1990年代の市街地再開発の進展や、土壌汚染が土地取引や融資のリスクとして顕在化していた状況がある。制度はブラウンフィールドの可視化と再開発推進に寄与し、日本の環境行政における転換点となった。こうして2001年の中間取りまとめは、後の法制度の基盤を築いた重要な一歩だった。
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