Saturday, September 27, 2025

天然冷媒で冷やす未来――フロンからの転換点 2001年

天然冷媒で冷やす未来――フロンからの転換点 2001年

2001年前後、冷凍・空調分野はフロン問題の転換点に立たされていた。CFCやHCFCはモントリオール議定書に基づき全廃・削減が進み、代替として普及したHFCも温室効果が高く地球温暖化の要因となる。オゾン層を守りつつ気候変動も抑えるには、CO2、アンモニア、炭化水素といった天然冷媒の導入が必要と認識された。日本では2001年に世界初の家庭用CO2給湯機「エコキュート」が発売され、電力会社やメーカーの協力で高効率ヒートポンプ技術が商用化された。これは給湯の電化と低炭素化を推進し、天然冷媒普及の象徴となった。欧州では1990年代から家庭用冷蔵庫で炭化水素が主流化し、2001年にはドイツでほぼ100%がHC冷媒を使用する状況に達していた。これは「グリーンフリーズ」と呼ばれ、環境負荷の小さい家電の普及を加速さ�
�た。産業・業務分野ではアンモニア冷凍が既に標準だが、毒性や安全設計が課題であった。一方CO2はスーパーの冷蔵システムで実証が進み、2005年には欧州で商用化が始まる助走期にあった。日本では2001年にフロン回収・破壊法が公布され、使用済み機器からのフロン回収と適正処理が制度化され、天然冷媒や低GWP冷媒の市場普及を後押しした。こうした国際条約、技術革新、制度整備が重なり、冷凍・空調分野はオゾン破壊ゼロと低GWPを両立する方向へ大きく舵を切った。

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