「リサイクル事業は製造業だ」―2002年前後の視点から
2002年前後の日本では、循環型社会形成推進基本法や食品リサイクル法が施行され、廃棄物の再資源化が政策的に進められていた。しかし私は、当時の多くのリサイクル事業が採算を取れず、成果を出せていない現状に強い疑問を抱いていた。私が常々考えていたのは、リサイクル事業を製造業と同じ発想で捉え直す必要があるということだ。まず第一に、原材料の調達が肝心である。廃棄物を資源とみなし、分別の徹底によって品質の揃ったものを確保しなければならない。ここを誤れば事業は最初から失敗する。次に重要なのは生産プロセスだ。適正な設備を整え、効率的に再資源化を進めなければ、製品としての完成度は低く、市場に受け入れられない。そして最後に市場性である。需要や用途のない再生品は、結局ふたたび廃�
�物へと戻ってしまう。私は、この三段階を精算性の観点から冷静に考えるべきだと訴えてきた。リサイクルは理念として「善」であると叫ばれる時代だったが、私はあえてその熱狂に冷水を浴びせ、製造業型の合理性を導入しなければ持続できないと主張したのである。自問自答を重ねながら書き記したこの論考は、経営者や技術者が議論する声をそのまま文字に移したような臨場感を帯びている。理念先行に偏った社会に対し、私は現実的な市場の力学を直視せよと迫ったのだ。
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