Saturday, September 6, 2025

### 環境 北海道の太陽と資本の影―外資の囲い込みと周辺化の時代(2020年代)

### 環境 北海道の太陽と資本の影―外資の囲い込みと周辺化の時代(2020年代)

北海道の広大な大地に広がるメガソーラーは、かつて「再生可能エネルギーの希望」として注目された。しかしその多くは、外資による資本投下の場となり、地域に根ざす主体的な事業とは言い難い姿を見せている。2010年代以降、再生可能エネルギーの固定価格買取制度により投資妙味が高まった日本の市場は、特に円安の影響によって外資にとってますます魅力的な投資先となった。ドル建て資金を持つ海外ファンドは、実質的に割安な条件で北海道の土地や発電事業を囲い込み、収益を国外へ吸い上げていく。その結果、発電によって得られる利益は地域経済に十分還元されず、地元は土地提供や環境負担という「犠牲」の役割を担うにとどまっている。

この構図は、長らく北海道が「食料基地」や「観光資源」「自然エネルギー供給地」として扱われてきた歴史の延長線上にある。すなわち、中央や外資が利益と決定権を握り、北海道は資源供給と環境負担を担う「周辺」として固定化されるという非対称である。しかも送電網の制約から電力は優先的に本州に送られ、地元の利用や産業振興には必ずしも直結しない。雇用や税収はわずかに生じても、利益と支配の構造は依然として外部に握られている。

この現実をマルクスの資本蓄積論に重ねると、さらに鮮明になる。資本は利潤を追求して絶えず自己増殖を行い、雪だるま式に膨張する。その運動の中で自然や土地は資本増殖の素材に変えられ、地域社会の必要よりも資本の論理が優先される。北海道のメガソーラーをめぐる外資の動きは、まさに資本が自己目的化し、地域を包摂していく典型的な過程といえる。円安はその動きを後押しし、日本全体が外資資本にとっての「安価な投資舞台」と化す中で、北海道の「周辺化」は一層深まっている。

このように、メガソーラーの外資囲い込みは単なるエネルギー問題にとどまらず、資本の論理と地域社会の主体性のせめぎ合いを映し出す。資本の増大が周辺を取り込み、格差を広げる運動は止むことがない。ゆえにこの構造を打破するためには、市民出資や自治体主導のエネルギー事業など、地域が主体的に資源を管理し、利益を再投資できる仕組みが不可欠である。北海道の太陽が外資の影に覆われぬよう、地域自らの意思で未来を描く力が問われている。

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