環境 森を守り、陽を呼び込む――高知県の森林環境税とメガソーラー 2023年
高知県は2003年に全国で初めて森林環境税を導入し、県民一人あたり年500円を上乗せする仕組みを現在も継続している。この税収は間伐や植林、森林学習、ボランティア活動、水源涵養機能の回復などに活用され、令和5年度には第5期を迎えた。さらに国からの森林環境譲与税と合わせて約17億円が配分され、基金を通じて透明性を保ちながら事業が進められている。高度経済成長期以降に荒廃した山林を再生し、県民の生活や産業を支える基盤として位置付けられている。
同時に、高知県は再生可能エネルギーの導入にも積極的である。「こうち型地域還流再エネ事業」として県、市町村、民間が共同出資し、太陽光発電の収益を地域に還元する仕組みを構築した。県有施設や住宅への太陽光導入、公用車のEV化などを推進し、脱炭素社会に向けたアクションプランを展開している。しかしメガソーラーに関しては、土佐清水市などで景観や土地利用を巡る反対運動もあり、無計画な開発には慎重な姿勢を示している。
森林環境税とメガソーラーは制度上独立しているが、土地利用を通じて交錯する。森林を伐採して設置すれば公益機能を損なう恐れがある一方、耕作放棄地や荒廃林に環境配慮型のソーラーを導入すれば、森林再生と再エネ推進の両立が可能となる。高知県の挑戦は、森を守りつつ陽を活かす調和をどう実現するかという現代的課題を象徴している。
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