塩ビリサイクル率50%へ ― 2003年当時の時代背景と展望 2003年12月
2000年代初頭、日本は循環型社会への移行を本格的に進めていた。2000年には循環型社会形成推進基本法や建設リサイクル法が施行され、建設副産物や使用済み建材の再資源化が政策的に後押しされた。背景には最終処分場の逼迫やバブル崩壊後の大量廃棄問題があり、廃棄物を「処理」から「資源化」へと位置づけ直す社会的要請が強まっていた。また国際的にも京都議定書の採択と2005年発効を控え、温室効果ガス削減と資源循環が避けられない課題となっていた。このような状況下で塩ビ工業・環境協会は2003年、使用済み塩化ビニル製品のリサイクル比率を50%に引き上げる計画を打ち出した。床材や壁材といった建材を中心に回収体制を整備し、都市開発や解体工事で増加する副産物への対応を強化。さらに高炉メーカーと連携し
、回収した塩ビを高炉で還元材として活用する技術開発を進めた。これにより鉄鋼業と塩ビ業界の双方で資源循環を図る産業間リサイクルのモデルが形成された。この取り組みは単なるリサイクル率の向上にとどまらず、産業界全体が循環型社会を共有する象徴的な施策とされ、環境ビジネスの新たな展開として注目を浴びた。
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