Thursday, September 25, 2025

PETボトルリサイクル率「世界最高水準」へ――2001年の到達点と背景

PETボトルリサイクル率「世界最高水準」へ――2001年の到達点と背景

2000年度、日本のPETボトル「リサイクル率」は34.5%に達し、「世界最高水準」と協議会が位置づけました。分別収集を実施する市町村が急増し(2000年度で2340市町村、全国の約72.5%)、制度面では容器包装リサイクル法の完全施行(2000年)が後押ししました。翌年度は44%台への上振れを見込むなど、上昇基調がはっきりしていました。

国際比較では、当時の米国や欧州はおおむね2割前後で、日本が一歩抜け出す格好でした(例:米国22.3%、欧州22.0%)。一方で、数値の定義には注意が必要です。各国で「回収率」と「リサイクル率(再商品化率)」の使い分けが異なり、単一回収方式では実際に再生工程へ回る歩留まりが下がる傾向も指摘されています。日本の数値は協議会が公表する「リサイクル率(再商品化量の比率)」で、制度整備と分別定着の成果を反映しています。

上昇を支えた要因は三つ。第一に、デザインガイドラインや指定品目の拡大など、業界横断のルール・協働体制(PETボトルリサイクル推進協議会)。第二に、消費者の分別行動を軸に、市町村が分別収集、事業者が再商品化を担う日本型の役割分担(容器包装リサイクル法)。第三に、国内再生処理の受け皿整備です。協議会資料・年次報告は、この仕組みが回収量と再商品化量の伸長につながったと総括しています。

もっとも、課題も当時から明確でした。再生樹脂の国際市況に左右されやすい採算性、ボトルtoボトルを含む高付加価値用途の拡大、そして定義の違いによる国際比較の難しさです。こうした論点はのちの制度・市場整備へ継承され、2000年以降も回収(収集)率は上昇を続け、後年には9割超まで伸びたとする研究もあります。

要するに、2001年前後は「制度(法)×分別(市民)×受け皿(産業)」が噛み合い、日本のPETボトルリサイクルが世界水準に躍り出た局面でした。数字の裏にある仕組みと定義を踏まえて見ると、日本の強みは"分別の徹底と安定した再商品化フロー"にあり、同時に"採算性と高品質リサイクルの拡大"が残る宿題だった、と整理できます。

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