Tuesday, June 3, 2025

愛と革命のあいだで――藤本敏夫と加藤登紀子の半世紀 1970年代〜2000年代

愛と革命のあいだで――藤本敏夫と加藤登紀子の半世紀 1970年代〜2000年代

一九七〇年代、学生運動の嵐が吹き荒れるなか、藤本敏夫は中核派のリーダーとして反戦と反体制の闘争に身を投じた。彼の信念は時代の矛盾を直視し、真に変革を望む行動となって現れた。その獄中で、彼を支えたのが歌手・加藤登紀子である。彼女は社会と個人を歌い続ける表現者として、藤本の思想と人生に惹かれ、一九七二年には中野刑務所で「獄中結婚」を果たす。

出所後の藤本は、社会運動の延長として有機農業に活路を見出す。「大地を守る会」や「鴨川自然王国」を設立し、都市と農村、経済と環境の再接続を目指した。その理念は、自然との共生を基盤とする穏やかな革命であり、彼は「誰もが農業に関われる社会」を目指した。

一方、加藤登紀子もまた、時代と響き合う歌声を届け続ける。九〇年代にはスタジオジブリ『紅の豚』で声優・歌手として活躍し、彼女の表現は世代を超えて広がった。二〇〇二年に藤本が逝去した後も、加藤は歌を通して彼の理念を伝え続けている。二人の生き方は、愛と思想が一つになった、もう一つの時代の記録である。

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