**「環境ビジネスの立ち上げ方 ― 成功する協同組合方式とは」―1998年9月**
1990年代後半、日本経済はバブル崩壊からの長い停滞を抜け出せずにいた。大企業中心の成長モデルが揺らぐ中で、中小企業や個人事業者が生き残りをかけて模索を始めていたのが「環境ビジネス」という新分野だった。とりわけ1997年の京都議定書の採択以降、環境問題が社会の大きな課題としてクローズアップされる中、国の補助金制度や環境庁・通産省などの支援も後押しとなって、「エコ」をキーワードにした新たなビジネスの可能性が各地で模索され始めた。
その特徴は、「一人で始めない」「異業種の人間と顔を合わせる」「共通の課題をベースに話し合う」といった、今日でいうところのスタートアップ・コミュニティのような共同性の重視にある。
まず、異業種交流会のような形で参加者を募り、それぞれが現在の事業内容を紹介し合う。ここでは、見えない市場を独力で開拓するよりも、互いの得意分野を活かして新しいビジネスモデルを創出することが狙いとされている。実際に、参加者たちが持ち寄るアイディアをもとにビジネスの可能性を議論し、テーマごとに分科会を設けて市場調査、価格設定、商品設計を進めていく。その過程では「顔の見える関係」が重視され、合意形成の速さや信頼の共有が協業の推進力となっている。
さらに、そうした創発的なプロセスの成果を具体化する制度として紹介されているのが「協同組合」だ。中小企業が協力しあって製品開発、流通、販売、金融、研究などを共同で担うことで、資金力や市場開拓力の弱さを補い合うという枠組みである。設立には最低4人の組合員がいればよく、政府や自治体による補助制度も活用できた。特に環境関連では、再生資源の流通やエコグッズの開発・輸入といった分野で協同組合方式が相性よく機能していた。
記事では、成功事例として以下のようなパターンが紹介されている:
・海外から環境グッズを輸入して日本で販売するケース
・脱サラ起業家が自らの得意分野を活かして新商品を開発するケース
・大手企業の下請けから独立し、新分野へ転換したケース
・長年の研究をもとに環境技術を事業化するケース
いずれの事例にも共通するのは、「環境への強いこだわり」と「協調による実行力」だ。つまり、この時代の環境ビジネスは、経済合理性とともに「志」を持つ者たちが、支え合いながら進む場でもあった。
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