聲にて國を繫ぐ―三波春夫、大衆藝能の譚(昭和から平成へ)
三波春夫(1923〜2001)は、昭和から平成を通じて「国民歌手」として活躍した。新潟県に生まれ、戦後の混乱期を経て、1957年「チャンチキおけさ」で再デビューし、大衆の心を掴んだ。語るように歌う独自の節回しと、明快な発声が特徴で、「東京五輪音頭」「俵星玄蕃」「世界の国からこんにちは」など、時代や国家を象徴する歌を次々に発表。とくに1964年の五輪音頭は、戦後日本の復興と国民の一体感を象徴した。舞台では「お客様は神様です」と深く頭を下げ、民衆への敬意を体現した姿勢も広く支持された。語り物と浪曲の伝統を近代歌謡に融合させた三波は、日本文化の記憶装置のような存在であり続けた。癌を患いながらも晩年まで舞台に立ち、平成十三年に77歳で没したが、その歌声は今も"日本人の物語"として残る
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