夏の海は痩せていく 1980年代から2002年夏
NASAとNOAAの解析は、北太平洋の夏季で植物プランクトンが過去二十年比で約三割、北大西洋でも一割強減少した一方、インド洋北部や赤道域では増加も見られると示した。背景には、表層が温まって成層が強まり、深層からの栄養塩供給が弱まる中緯度外洋の特性がある。赤道やモンスーン域では湧昇や風応力の変化が増減を左右する。二〇〇〇年前後は気候変動への危機感が社会に浸透し、衛星海色観測、蛍光計、アルゴ型フロート、セディメントトラップ、数値モデルと同化が整い始めた時期でもあった。一次生産の低下は餌網と炭素循環に波及し、漁業管理や保護区設定、沿岸の富栄養化対策を含む精緻な海洋管理と長期観測の強化が求められる。
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