Saturday, September 20, 2025

北海道夕張市の廃タイヤ不法投棄事件 - 2001年10月

北海道夕張市の廃タイヤ不法投棄事件 - 2001年10月

2001年10月、北海道夕張市の南部、石狩山地の山間部で約5400本の廃タイヤが不法に投棄されているのが発見されました。発見場所は、市内の幌南ダム付近で、観光客や地元住民の通報により明るみに出ました。廃タイヤの総重量は推定で150トン以上に上り、不法投棄の規模としては北海道内で最大級とされました。これらのタイヤは、地元の中古タイヤ販売業者および廃棄物処理業者の数社が、処理費用を削減するために違法に投棄したものと見られています。

廃タイヤがもたらす環境影響として、水たまりが発生して蚊の繁殖地となり、デング熱や日本脳炎といった感染症リスクが指摘されました。また、タイヤが自然発火した場合、有毒な黒煙やダイオキシンなどの有害物質が大気中に放出される懸念もありました。

調査により、夕張市内の特定の廃棄物処理業者が投棄に関与していることが判明しました。これらの業者は通常1トン当たり約2万円の処理費用を避けるため、総額1000万円以上の処理コストを違法投棄で回避したとされています。地元自治体は、環境省の補助金を活用して約1200万円をかけた撤去作業を実施し、専門業者が廃タイヤを収集し、適切にリサイクルまたは焼却処理しました。

事件後、夕張市は廃棄物処理法に基づき不法投棄の取り締まりを強化。さらに、地元タイヤメーカーや販売業者の協力を得て、廃タイヤの再利用促進キャンペーンを展開しました。これにより、廃タイヤからゴムチップを製造し、舗装材や人工芝の材料として再利用する新たな取り組みが始まりました。この事件は、廃棄物管理の課題と持続可能な処理体制の重要性を全国に示す事例となりました。

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