Thursday, September 18, 2025

長野県松本市 - 有害廃棄物埋設事件 - 2001年7月

長野県松本市 - 有害廃棄物埋設事件 - 2001年7月

長野県松本市郊外で、大量の有害廃棄物が違法に埋設されていた事件が発覚しました。調査の結果、埋設された廃棄物の総量は約1570トンに達し、そのうち約650トンが高濃度のPCBを含む危険物であることが確認されました。廃棄物は1995年から2000年にかけて、松本市に本社を置く「松本産廃リサイクル」社によって埋設されたことが判明しました。この業者は偽造された処理証明書を用い、他の地域からも廃棄物を受け入れていました。

埋設現場は松本市の南西部、浅間山近郊の山林で、周辺住民からの異臭や水質異常の通報を受けて調査が開始されました。地下水からはPCBが基準値の約120倍に達する濃度で検出され、井戸水の使用が即時停止される事態に。現地住民約70世帯が健康被害の可能性を訴え、うち15名が倦怠感や呼吸器疾患を抱えていることが確認されました。

この事件を受け、長野県は緊急対策として廃棄物の撤去と地下水浄化を開始。撤去作業には約6億5000万円の予算が計上され、作業は2025年の完了を目指しています。また、地下水浄化のための活性炭フィルターを用いた処理が行われており、2023年までに汚染濃度を90%以上削減する計画です。さらに、業者の違法行為を可能にした背景には、監視体制の不備や処理業界の規制緩和があるとされ、県は新たに監視システムの導入と定期的な現地検査を義務付ける方針です。

この事件は日本国内外でも注目され、廃棄物処理業界の倫理と透明性に疑問を投げかけました。松本産廃リサイクル社の責任者には最大で2億5000万円の罰金と懲役3年が科される見込みであり、同業者への影響も大きなものとなっています。松本市内の住民グループ「浅間環境守る会」は事件の再発防止と透明性の確保を訴え、全国的な注目を集めています。

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