Sunday, September 14, 2025

「リサイクル事業は製造業だ」―2002年前後の視点から

「リサイクル事業は製造業だ」―2002年前後の視点から

2002年前後の日本は、バブル崩壊後の長引く不況を背景に、循環型社会形成推進基本法(2000年施行)や食品リサイクル法などが整備され、廃棄物処理から再資源化への転換が社会的に求められていました。しかし実際には多くのリサイクル事業が採算割れを起こし、期待されたほどの成果を上げられていなかったのです。

この文脈で筆者は、リサイクル事業を「製造業」と同じ土俵で捉え直すべきだと強調しています。まず第1ステージは「原材料の調達」。つまり廃棄物を単なるゴミではなく、品質の揃った資源として確保することが前提条件となります。分別が甘ければ処理コストは跳ね上がり、そこで勝負はほぼ決まってしまう。次に第2ステージは「生産プロセス」。製造業における生産ラインと同じく、適正な設備や効率性を確保しなければ製品の品質は低く、事業として成立しない。最後に第3ステージは「市場性」。再生品が実際に売れるのか、用途やニーズが存在するのかという点である。需要がなければせっかく作った製品も廃棄物へと逆戻りし、循環の輪は途切れてしまう。

こうした議論は、当時の「リサイクルは善である」という風潮に冷水を浴びせるものでした。国や自治体が補助金で支える仕組みではなく、市場競争の中で生き残る"製造業型リサイクル"への転換が必要だという提言は、2000年代初頭の廃棄物・リサイクル政策の空気をよく反映しています。文章全体が「なぜ事業は失敗するのか」「どうすれば成立するのか」と自問自答する独白のリズムを持ち、まるで経営者と技術者が議論している会話を耳にしているかのような臨場感を漂わせています。

当時の日本社会において、資源循環は理念先行で現実的なビジネスモデルを欠いていた部分が多く、この記事はその矛盾を鮮やかに突いたものだったといえます。

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