2015年8月17日月曜日

市場広がるエコマテリアル①

 市場広がるエコマテリアルーそのⅠ


先進諸国中一番の資源小国で、資源の多くを海外へ依存する日本。
輸入した資源を目的に合わせて加工して付加価値を加味させ、新たな素材・材料として創り換える日本企業の開発力は常に世界リードしている。
その新素材の中でも、グリーン化(環境と環境改善)に寄与する新素材(材料)が「エコマテリアル」と呼ばれる。その多くは日本発であることは余り知られていない。今世紀は「環境の世紀」と言われ、人為的な諸要因で地球環境の悪化が顕在化する現在、地球環境悪化の改善を図るため世界市場はグリーン化に進んでいる。したがってそこに提供される製品はグリーン化に向かざるを得ない。このグリーン化製品を支える素材のひとつが「エコマテリアル」であり、世界的に需要が急拡大中なのだ。

●エコマテリアルの起源
エコマテリアルという名称は、環境を強く意識した素材・材料を指す日本独自の造語である。日本企業の素材研究における議論から誕生し、世界へ広まった概念で、その目的は資源の有効活用、及び自然の生態系の確保のための環境汚染物質の排除、汚染浄化等環境の負荷低減が挙げられる。
エコマテリアルの開発に拍車を掛けた取組みとひとつが国際的規格になっている環境適合設計(DfE:環境負荷低減を図るため環境に配慮した製品、及びサービスの設計・企画を行うこと)だった。
ちなみにUNEP(国連環境計画)では。この環境適合設計に求められる考え方として①新しい製品コンセプトの設計②環境負荷の少ない材料の選択③材料使用量の削減④最適生産技術の適用⑤流通の効率化⑥使用時の環境影響の軽減⑦製品寿命の延長⑧使用後の最適処理等がある)。
こうした規格を満たすためには設計上の配慮ばかりでなく、素材・材料の選択が重要なポイントになってくる。そこで出番が回って来ているのがメイド・イン・ジャパンのエコマテリアルという訳だ。

●主なエコマテリアル
逆浸透膜(RO膜)、炭素繊維、光触媒、遮熱塗料、N夜光、LED/有機EL、バイオプラスチック、マグネシウム合金、非スズ系船底塗料、植物インク、水性/紛体塗料、鉛フリーハンダ等数え挙げたら切りがないほど多様だ。
中でも注目株は逆浸透膜。汚水を浄水に、あるいは海水を淡水に変える膜で水資源確保に重要な役割を果たしている。炭素繊維は軽くて鋼鉄以上の強度があり、航空機や自動車の部材に使用され始めている。マグネシウム合金は軽くて丈夫の特性を生かしてパソコン、携帯電話等の筐体に幅広い需要に対応している。