2023年9月22日金曜日

容器包装リサイクル法施行によって本格化する廃プラスチックの再商品化 1997.4.15

97年4月1日、容器包装リサイクル法が一部猶予付きで施行された。今回の施行で事業者に再商品化が義務づけられているのは飲料用など第2種指定のPETボトルとガラスびん3種(無色、茶色、その他の色)。2000年には完全施行され、非食品用PETボトルとそれ以外のプラスチックやダンボール、紙容器まで範囲が広げられることになっている。現在、年間5000万トンを超える一般廃棄物のうち、容器包装廃棄物の占める割合は容積比で約60%、ブラスチックはおよそ38%(容器包装廃棄物全体の約62%)。その再利用に向けた技術開発が急ピッチで進められている。

●リッター当たりの処理コストが50円も登場プラスチックのリサイクルには廃プラを再び加工し製品化するマテリアルリサイクルと、焼却によるエネルギーを回収、廃プラを分解し灯油など炭化水素油を生成する油化などのサーマルリサイクルがある。しかし、マテリアルリサイクルにはリサイクルの回数や品質の面で弱みがあり、また現行の容器包装リサイクル法では、プラスチックを熱分解し燃料として再商品化する場合には、炭化水素油に限定されているため、多くの企業団体が池化処理技術の研究開発に取り組んでいる(次頁表1)。しかし、96年11月に日本初の実用プラントとして注目されていた新潟県の新潟プラスチック油化センターは試運転中の同年12月に脱塩酸工程で火災事故を生じ、一部設備を損傷、運転を中止してしまった。原因調査は97年3月末に終了したが、市の判断や住民との話し合いも必要で再開には97年度いっぱいかかると見られている。現在国内で実用レベルで稼働しているのは、97年4月に本格操業を開始した立川市の総合リサイクルセンター内に併設したプラスチック廃棄物リサイクル施設(表紙参照)のみである。日本総合研究所が関連民間企業11社と共同で96年11月に設立した「プラスチック油化事業推進フォーラム」にはオプザーバーとして厚生省生活衛生局、通産省工業技術院、プラスチック処理促進協会などが参加。理想的な廃プラ袖化事業の実現のため、経済性など油化事業における問題点を解決した具体的な事業構造、再生袖の用途確保、分別収6集法、効果的な行政の支援策などを検討し、再商品化を義務づけられる特定事業者や行政機関などに対し提言を行なっている。廃プラ油化は異なるプラスチック素材を同時に、しかも多少の異物が混入しても問題なく処理できるなどの利点があり、コストの面では三菱重工業が1リットル50円以下に抑えられることを立証しており、新品の灯油の同30円にかなり近づいてきている。今後は利用途確保のために公共の施設において生成油使用を義務付ける、再生油を石油関連法の課税対象からはずすなど、政府による経済的インセンテイプを与えることが必要である。

●標準化が鍵を握るゴミ固形燃料化可燃性廃棄物を選別・粉砕.粒度調整・成形固化した固形物を石炭などの代わりに燃料として利用するRDF化技術開発も進んでいる。RDFは長期保存が可能でハンドリングも良く、焼却炉が不要となるなどの利点があり、油化とならび多くの企業が取り組んでいる。しかし、容器包装リサイクル法ではRDFは燃料としての再商品化には当たらないとしている。プラスチック処理促進協会がRDF関連10社12事業所を対象に行なったアンケート調査によると、RDFの廃プラ含有量は8-70%と幅広く試験法も異なり、1キログラム当たりの発熱量も3000~6500キロカロリーまで多種多様であった。そのため長期保存した場合の品質の変化による環境への影響など不明確な部分が大きいからだ。とはいえ、すでにRDFの製造装置を開発・運転している企業も多数あり、1基当たり数十億円もする施設を設置したのが無駄ということになると大きな痛手である。今後、法改正などでRDFが再商品化の対象として指定されるためには品質の標準化が重要な鍵を握っている。通産省工業技術院でもRDFの標準化を行なうべく95年度から調査を始めており、プラスチック処理促進協会と協力して仕様の共通化に取り組み、形状、貯蔵·輸送方法、燃焼法について統・ーを図り、今年度中のJIS化を目指している。




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