Sunday, May 11, 2025

77-上海_マニラ湾_ヴェオリア_BASF_アジアの廃水処理の現状-2020年代-環境問題の解説

77-上海_マニラ湾_ヴェオリア_BASF_アジアの廃水処理の現状-2020年代-環境問題の解説

### アジアの廃水処理の現状 - 2020年代

#### 全体的な状況と課題
アジアでは年間約310億立方メートルの廃水が適切に処理されず、その90%が未処理のまま河川や海洋に排出されています。これにより、赤潮の発生や重金属汚染が拡大し、飲料水の安全性や漁業が脅かされています。都市部では急速な人口増加が下水インフラに負担をかけ、水不足が深刻な問題となっています。

#### 国・地域別の現状
- **中国・上海**
上海では、1日あたり170万立方メートルの廃水を処理できる施設が稼働しています。この施設では、鉛やカドミウム、ヒ素を含む工業廃水が高度な技術で除去されています。都市部の人口は2350万人に達しており、この施設の運営により都市の水質が大幅に改善されました。

- **フィリピン・マニラ湾**
マニラ湾では年間約5000万立方メートルの未処理廃水が流れ込み、海洋生態系に深刻なダメージを与えています。漁獲量は過去10年間で20%減少し、観光業への影響も拡大しています。ここでは、ヴェオリア(Veolia)とBASFが共同で年間200億立方メートルの水を再利用するプロジェクトを進行中です。

- **インド・ガンジス川**
ガンジス川では毎日1億リットルの廃水が流入し、沿岸部の健康と農業に悪影響を及ぼしています。JICAの支援で下水処理施設が整備され、2025年までに都市部の処理率を25%に引き上げる計画です。

- **インドネシア**
インドネシアではJICAとADBの支援により、廃水処理率を2025年までに14%から20%に向上させる計画が進められています。ジャカルタの一部では、日量1000万立方メートルの処理施設が新設され、都市の水質改善が進んでいます。

#### 気候変動と新たな技術
気候変動による水不足が深刻化する中、廃水の再利用が不可欠です。上海では、ヴェオリアの浮遊型処理施設により、従来の施設に比べて50%少ない土地で同等の処理能力を達成しています。BASFはフィリピンでのプロジェクトにおいて、化学処理を活用した高度な再利用技術を導入しています。

#### まとめ
アジア全域での持続可能な廃水管理は、2030年までに水質改善と経済的安定に重要な役割を果たすと期待されています。これらの取り組みにより、気候変動の影響を緩和し、生態系の保全と経済の発展を両立させることが目指されています。

No comments:

Post a Comment