2018年12月11日火曜日

先人から学ぶ

<先人たちから学ぶものとは…>
伝統的知識のさらなる理解と認識を築き、先住民族や地域社会や政策決定者による取り組みを伝えるため、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は2007年、伝統的知識イニシアチブを発足させた。このイニシアチブは先住民族の現在の慣習と長年培われてきた知識の活用を研究している。広く行き渡った開発手段があまりに多くの問題を引き起こしてきた世界にとって、イニシアチブの研究は極めて重要である。実際、現代社会は過去の先住民族社会から、資源の効率的な活用方法や廃棄物の管理システムの向上方法に関する価値ある洞察と教訓を学ぶことができ、またそうすべきだ、と。

2000年から2050年の間に、世界の人口は50%、世界の経済活動は500%、世界のエネルギーおよび資源利用は300%、増加すると予測されている。こうした傾向は、すでに著しい負荷を掛けている地球の資源と環境にさらなるをストレスを掛けることになるだろう。1992年の地球サミットの会期中、世界のリーダーたちは「地球環境の絶え間ない劣化を引き起こす主な原因は、物資の製造と消費と廃棄が着実に増加していることだ」と警告している。同時にリオ宣言では、持続可能な開発と貧困の根絶を背景とした「グリーン経済」政策が持続的かつ包括的な経済成長を促進し、持続可能な消費および生産形態を助長するのだと断言した。

資源利用と廃棄物管理は、先進国と開発途上国では大きく異なる傾向がある。人間生活や社会が豊かさを限りなく求めれば、消費される資源や生み出される廃棄物(固形および液状)は多くなる。従って、先進国は開発途上国よりも多くのエネルギーや水、金属やプラスチックなどを消費する。2012年の世界銀行のデータでは、こう見ていた。アメリカの平均的な居住者が1日に出す廃棄物は3.5キロだが、一部のアフリカの都市居住者の場合、1日1人当たり200グラム未満である。
イニシアティブでは、また先進諸国における廃棄物発生率は安定化あるいは緩やかな増加の傾向を示している。この傾向は、先進諸国の経済システムの成熟を反映すると同時に、人口の緩やかな増加あるいは減少も反映している。先進諸国は、経済成長がそのまま廃棄物の増加につながらないようにするため、資源効率性の向上や、廃棄物対策、リユースやリサイクリングを最大限に活用する取り組みを提言している。

一方、開発途上諸国では、経済成長と都市化によって廃棄物発生率が急速に増加している。世界銀行によると、廃棄物発生率の増加スピードは近い将来、アフリカとアジアで最も急速になる。例えば、今後20年間でサハラ以南のアフリカから排出される廃棄物は3倍になる見込みだ。中国は2004年にアメリカを追い抜くと看破。現在、世界最大の固形廃棄物の排出国になっている。
開発途上諸国の多くの都市では、廃棄物の回収や適切処理システムを国民に提供することが今でも困難である。その結果、大気や水や土壌が汚染され、公衆衛生には負の影響が及んでいる。しかし適切な廃棄物管理は、雇用機会を創出し、社会のエコロジカルフットプリントを削減することができる。従って固形廃棄物に関する政策・制度設計では、廃棄物の発生を最低限にし、廃棄物資の再利用とリサイクリングを最大限に活用することを目指すべきだと提言している。

技術革新が現代の廃棄物問題に対する回答として見られることは多い。しかし、例えばメキシコのアステカ族のような、偉大な古代社会が活用していた歴史的手法から、私たちは何を学ぶことができるだろうか? アステカ族の廃棄物管理や資源利用のような過去のシステムは、現代の世界にどのような関連性を持つだろうか?と、イニシアティブは結んでいる。

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