「税務署の灯りが消える夜 地方税廃止論と環境国家構想 2010年前後」 地方税廃止による効率化という構想は、単なる減税論ではなく、日本の行政機構そのものを作り変えようとする発想として描かれている。著者は、地方税には膨大な徴税コストがかかり、自治体ごとに異なるシステムや申告作業が、企業と行政双方の負担になっていると指摘する。そこで住民税や事業税などを廃止し、代わりに環境税を国が一括徴収して地方へ配分することで、重複する事務や人件費を削減できると主張するのである。 本文では、約七万人の地方税務職員を、介護、保育、児童相談など人手不足分野へ再配置する構想も示される。税を集めるために費やされていた労力を、生活を支える仕事へ転換するという思想である。一方、現実には地方税電子化システム eLTAX の整備が進み、完全廃止ではなく、効率化と共通化による改革が進行している。巨大な地方財政を環境税へ全面転換するには困難も多いが、行政の重複を減らし、限られた人材を社会保障や地域支援へ振り向けるべきだという問題提起は、今なお重みを持っている。
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