「見えないガスが空へ消える日 フロン規制と温暖化の静かな恐怖」 フロン問題は、本文では「環境税だけでは止められない環境破壊」として描かれている。環境税は、価格を上げることで消費や排出を減らそうとする間接規制である。しかし著者は、フロンのように、一度大気中へ放出されるだけで巨大な温暖化効果を持つ物質については、価格による誘導だけでは不十分だと考えている。そこで必要になるのが、罰則を伴う直接規制なのである。 フロン類は、エアコン、冷蔵庫、冷凍設備、断熱材などに広く使われてきた。かつての特定フロンはオゾン層を破壊する問題で規制されたが、その代替として使われたHFCなども、今度は強力な温室効果ガスとして問題になった。中には、二酸化炭素の数千倍から一万倍以上の温暖化効果を持つものもある。 現在の日本では、フロン排出抑制法や家電リサイクル法、自動車リサイクル法によって、機器廃棄時の回収が義務づけられている。しかし、それでも回収率は十分とはいえず、回収されないまま大気中へ放出されるケースも残っている。つまり、見えないガスが、静かに空へ漏れ続けているのである。 この問題の難しさは、「少し値段が上がれば使わなくなる」という単純な話ではない点にある。問題は、機器の内部に残された冷媒を、誰が、いつ、確実に回収するかなのである。そのため、点検義務、回収義務、記録管理、罰則などを組み合わせた直接規制が重要になる。 フロン問題とは、煙突から黒煙が上がるような分かりやすい公害ではない。目に見えず、匂いもなく、静かに大気へ広がっていく。その見えないガスの積み重ねが、地球の気温を少しずつ押し上げているのである。
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