現在、この国では年間約1900万トンもの食品廃棄物が発生しています。 この中でも、最近は特にスーパーやコンビニ、ホテル、外食産業からの生ごみの発生量が目立ちますが、そのほとんどが埋め立てや焼却され、リサイクル率は1%にも満たない状況です。 こうした状況を打開するため、政府は先月末、「食品循環資源再利用促進法案」を閣議決定し、食品事業者などから大量に排出される生ごみなどの再生利用を目指して国会に提出しました。 また、食品事業者以外の企業やホテル、コンビニなどではISO 14001の取得に伴い、事業所内で発生する生ごみの再資源化に取り組む動きも活発になっています。 こうした動きを受けて、生ごみ処理に必須の処理機の事業には200〜300近い企業が参入しています。 本稿では、こうした処理機の現状と課題について紹介します。 ●種類別の特徴と課題 コンポスト型(肥料型、飼料型):生ごみを微生物を用いて発酵させ、肥料や飼料として再資源化するもので、最も普及しています。 90年代のかなり早い段階から登場し、企業や自治体、学校など数多くの場所で使用されています。 堆肥化された生成物は、その内容に応じて肥料や飼料として利用されます。 利用者にとって馴染み深く、また短時間での生ごみ処理が可能な点がコンポスト型の利点です。 しかし、このタイプではコンポスト化の際に発生するアンモニアなどの臭気や生成物として出てくる肥料と飼料の用途が大きな問題となります。 臭気に関しては加熱や内部での生ごみの攪拌方法により違いはありますが、短時間での処理のために急速に発酵させることから、大量の悪臭が一度に発生しやすくなることが大きな原因となっています。 メーカー側では臭気を抑えるため、脱臭・消臭装置をセットにするケースも増えていますが、その分購入費用も高くなってしまいます。 また生成された肥料・飼料に関しては、内容物や発酵条件によってその品質が大きく左右されてしまうため、リサイクルの上で大きな問題となっています。 最近では農家や畜産業者と提携し、生成品を引き取るメーカーも出てきていますが、生成品の品質保証や引き取り先までの運送費、混入している異物の除去などの人件費、さらに飼料では海外飼料との価格競争の問題もあり、こうした動きはまだ一部に限られており、今後の普及の上で大きな課題となりそうです。 消滅型:生ごみを微生物を使って水と炭酸ガスに分解し、大幅に減量するもので、最近では新規参入業者の中で最も多いタイプです。 完全に消え去るわけではないものの、大幅に減量されることからこの表現が用いられています。 基本的には木材チップなどを菌床材にして攪拌し、微生物により生ごみを水と炭酸ガスに分解させます。 菌床材を定期的に交換すれば長期間使用することが可能です。 コンポスト型のように生成品の利用先を考えずに済むのが大きな利点です。 ただし消滅型も万能というわけではなく、いくつかの問題点があります。 まずは価格です。 処理能力1000キログラム/日以上のものでは、価格が1000万円を超える機種が多く、他のものに比べて高価格帯のケースが多いです。 次に問題なのは使用済みの菌床材の処理です。 日本の食品廃棄物は塩分濃度が比較的高いため、処理に伴い菌床材に塩分が濃縮されてしまいます。 この塩分は微生物の寿命を縮めるだけでなく、菌床材のその後の用途を限定してしまう要因にもなっています。 メーカーによっては土壌改良剤などとして引き取ってくれるところもありますが、含有塩分の問題から焼却を進めているメーカーもあります。 さらに微生物を使うため、悪臭の問題もコンポスト型同様避けて通れない問題となっています。 また消滅型でも排水を流すタイプの場合、内容物によるが成分的に水質汚濁防止法による排水基準を超えるような排水が出る場合もあり、この点にも注意を払わなければなりません。 乾燥型:生ごみを加熱して乾燥し、減量化するものです。 異物の混入などにも対処しやすく、また乾燥により熱殺菌を行なうため、乾燥物を肥料や飼料の原料として利用しやすく、悪臭の問題もあまり気にせずに済みます。 ただし、減量化率がコンポスト型や消滅型に比べて低く、加熱時のエネルギーコストの問題があります。 一次処理を考えるならばともかく、リサイクル全体を考えると多少の問題があるといえます。 炭化型:木質系の廃棄物を炭化し、土壌改良剤や水質浄化材として利用されるイメージがありますが、生ごみ処理にも利用されています。 多くは密閉した生ごみを外部から電気やバーナーで間接的に加熱する方式が取られています。 乾燥型同様、異物の混入や悪臭などの問題はなく、減容化率も高いです。 ただし、バーナー式の場合は消防法との絡みが問題になるほか、エネルギーコストが問題となります。 まだ参入メーカーや納入実績ともに少ないため、今後の動向を見守る必要があります。 水熱処理型:消滅型に近いですが、処理方法が従来のものとはかなり異なるため、敢えて分類しました。 99年末に石川島播磨重工業と新菱冷熱工業が共同開発したもので、亜臨界水技術と湿式酸化処理などを用いて生ごみを水と炭酸ガスに分解します。 処理後の水は直接下水道に放出できます。 従来の消滅型と違い、無機物以外は完全分解するため、若干の残渣も発生しません。 連続処理で開放部がないため臭気が発生せず、処理時間も短くなっています。 水を使用しているため、処理後の生成物が一切なく、生ごみ処理のゼロエミッション化を可能とした装置です。 しかし、価格が高額であり、設備償却に時間がかかることや、エネルギーコストの問題が懸念されます。 また、技術的な問題や運転管理、処理物の維持管理など、さまざまな課題もあります。 食品廃棄物の処理に関する技術は着実に進歩していますが、依然として課題も多く残されています。 今後はこれらの課題を克服し、より効率的で環境に優しい処理方法が普及していくことが望まれます。
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