Saturday, May 11, 2019

森林保全ビジネス 2002.01.20

森林保全ビジネスが裾野を広げそうだ。国内の森林は言ってみれば荒れ放題。無策な植林、無配慮な伐採、すざんな管理など森林の荒廃は目にあまる。背景には森林事業の大いなる誤算があった。木材やバルブは安い価格で海外から供給され、森林事業は成り立たず壊滅状態に。しかし、森林事業が経済的インセンティブを伴う事業として成立しそうなほのかな光明が見え始めた。

理由はいくつか挙げられる。まず国際的な経済指標であるGDP(国内総生産)の係数の中に環境要求を取り入れるグリーンGDPの取り組みが始まっている。例えば森を切って海外へ輸出すればGDPは上がる。それによる土壌流出や森林消滅による生態系の破壊、CO2の増加によるコストはGCPには現れない。この環境へのマイナス影響を考慮して従来のGDPを見直そうというものだ。さらに排出権取引制度にからむCO2の抑制のための森林保全、ISO14000ベースの森林認証制度など。そうした国際的な流れを読むと、今まで通りに、おいそれと安い森林資源を海外に求めることは無理。したがって国内森林の有効な利用の取り組みは避けられない。

経済性、人的資源などに乏しい森林事業にいかに活力を与えるか。この担い手として登場しようとしているのが、マネジメント能力のある建設および土木関連事業である。森林保全とそれに伴う管理、そして間伐材など木質系廃棄物からのエネルギー回収、建材利用の促進、排出権取引などの新たな経済的インセンティブによる森林経営のトライアル。何もなかった襟裳岬を豊かな森に変え、豊潤な海を取り戻した襟裳岬の昆布漁師の言葉。「私らが漁師だからといって、海のことだけ考えればいいということではなくて、山が荒れると海が荒れるというんだということ。頭の芯からそう思うんですよね」。事業の原点であって欲しい。

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