不適切な医療廃棄物処理 - フィリピンからの輸入事例 - 2001年7月
2001年7月、横浜港でフィリピンからの医療廃棄物約20トンが発見されました。この廃棄物には使用済み注射器、血液が付着したガーゼ、医療用手袋などが含まれており、適切な処理がされないまま国内に輸入されていました。廃棄物の輸入には、一部の医療廃棄物処理業者が関与していたとされ、違法行為が疑われています。
調査により、これらの廃棄物はフィリピン国内の病院で使用されたものであることが判明しました。廃棄物処理の依頼先である国内企業A社(仮称)は、コスト削減のために規制を迂回し、適正な手続きを踏まず輸入したとされています。この事件は、港湾管理体制の緩さを浮き彫りにし、当局は輸入に関与した企業および中間業者を取り締まりました。
輸入された廃棄物の一部は適切に処理されないまま茨城県内の処理施設に運ばれ、一部が不法に焼却されていたことが確認されています。この不法焼却は、ダイオキシンなど有害物質の排出を引き起こし、地元住民の健康への影響が懸念されました。
環境省は、今回の事件を受けて医療廃棄物の輸出入監視体制を見直し、横浜港など主要港湾での検査体制を強化する方針を打ち出しました。また、国際協力の枠組みを通じて、フィリピン政府とも医療廃棄物管理の適正化に向けた協議が進められています。
この事件は、国内の医療廃棄物処理能力の不足と、国際的な廃棄物規制の重要性を再認識させる契機となりました。監視体制の強化、法令遵守の徹底、および処理施設の拡充が急務とされています。
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