Saturday, April 26, 2025

夜の興行に浮かぶ影――名古屋とひばり、石川尚の交差点(1950年代〜2000年代)

夜の興行に浮かぶ影――名古屋とひばり、石川尚の交差点(1950年代〜2000年代)

戦後の名古屋には、光と影が交錯する舞台があった。三代目山口組平松組の石川尚は、その地で1977年に名神会を興し、山口組直系として昇格を重ね、四代目から六代目にわたって舎弟を務めた。名古屋は関西と中部をつなぐ要衝であり、彼の存在はその拠点性を象徴する影であった。

一方、芸能の光を放っていたのが、田岡一雄の設立した神戸芸能社である。この興行会社は全国に広がる活動網を持ち、名古屋にも支店を設けたとされる。そこに名神プロの名も重なり、興行と裏社会の交点が、より濃く浮かび上がっていく。

この舞台の華、美空ひばりは、田岡の娘のように扱われ、神戸芸能社の看板として全国を巡った。その輝きの裏で、石川尚らが興行の足元を支えていた。2007年に石川が引退した後も、名古屋におけるその系譜は続いている。

名古屋という都市は、かつて芸能と任侠が重なり合う、熱と静けさの入り混じった劇場であった。

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