東京湾・大阪湾・名古屋港-2023年 日本のマイクロプラスチック汚染の現状
日本では、マイクロプラスチック汚染が深刻化しており、特に東京湾、大阪湾、名古屋港などの都市部や産業地帯周辺で高濃度が確認されています。東京湾では1平方メートルあたり最大約3万個、大阪湾では約2万個、名古屋港では約1万5000個のマイクロプラスチックが検出されており、沿岸部での蓄積が目立っています。
主要な構成物質はポリエチレン、ポリプロピレン、PET(ポリエチレンテレフタレート)などで、これらは食品容器や包装材の分解によって発生します。また、横浜港や神戸港では、住友化学や三菱ケミカルなどの石油化学企業から流出した工業用ペレットが港湾部で拡散していることが報告されています。これらのペレットは、製造や輸送過程で漏れ出すことで海洋汚染の一因となっています。
淀川や荒川などの河川を通じた流出も深刻で、大阪府では淀川下流域の水中からリットルあたり300個以上のマイクロプラスチックが検出されています。この汚染の主な原因は、家庭から排出される洗顔料や洗剤に含まれるポリエチレン粒子や、産業廃棄物によるものです。
また、九州大学の調査では、日本国内で流通する魚介類の20%にマイクロプラスチックが含まれていることが示され、飲料水からもリットルあたり数百個が検出されました。これらが人体に与える健康リスクが懸念されています。
対策として、環境省は2022年に「プラスチック資源循環促進法」を施行し、プラスチックごみの削減とリサイクルの強化を進めています。花王や資生堂といった企業は、生分解性プラスチックの採用を進めており、住友化学は2025年までに海洋分解性プラスチック製品の商業化を目指しています。一方で、全国のプラスチックごみリサイクル率は30%にとどまり、70%以上が焼却または埋め立て処理されており、改善が必要です。
日本のマイクロプラスチック汚染は、都市部や産業地帯を中心に広がっています。今後、政策、企業、市民の連携による総合的な対策が不可欠であり、技術革新や国際協力を通じた問題解決が求められています。
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