Wednesday, April 23, 2025

「閉ざされた網の向こう側――北朝鮮とロシアが織る情報の回廊」(2017年〜現在)

「閉ざされた網の向こう側――北朝鮮とロシアが織る情報の回廊」(2017年〜現在)

北朝鮮のインターネット接続環境は、世界で最も厳しく制限されたもののひとつである。一般市民がグローバルインターネットへアクセスすることは原則として不可能であり、彼らは「光明(クァンミョン)」と呼ばれる国内限定のイントラネットを利用する。このイントラネットには政府が認可した情報しか流通せず、外部世界との情報交流は断絶されている。

しかし、その厳しい制限の背後で、国際的なインターネット接続は存在している。2017年以前、北朝鮮の対外ネット接続は中国のチャイナユニコムを通じた一本のみであった。だが同年10月、ロシアの国有通信企業トランステレコム(TransTeleCom)が新たな回線を提供し、北朝鮮にとって初めての「冗長性ある通信路」が出現した。この回線は、ロシアと北朝鮮をつなぐ「朝露友誼橋」を通して敷設された光ファイバーによって実現された。

このロシア回線の開通は、単に通信の多様化にとどまらない。北朝鮮はこれをバックアップ回線として利用することで、外部からのサイバー攻撃や遮断に対する防御力を高め、特に2017年に中国回線がDDoS攻撃を受けた際には、ロシア回線が重要な代替手段として機能したとされる。

さらに、この新たなネットワークは、北朝鮮のサイバー能力、特にハッキングや情報収集の技術を支える土台ともなりうる。ロシアとの通信インフラの強化は、制裁回避のための技術的足場としても注目されており、北朝鮮が中国への依存を減らしつつある証左と見なされている。

通信技術の変化は、他の分野にも波及している。2024年7月には、北朝鮮は国家放送の衛星中継を中国の「ChinaSat 12」からロシアの「Express 103」へと切り替えた。これもまた、ロシアとの連携強化の象徴であり、北朝鮮が情報・通信分野でロシアに接近している構図が浮かび上がる。

だが、こうした国際接続の背後で、実際にインターネットを使用できるのは政府高官や研究機関などに限られる。使用にあたっては監視員が付き添い、5分ごとに閲覧内容を記録し、指紋認証を行うという徹底ぶりだ。インターネットは、開かれた自由な空間ではなく、権力が統制する厳重な檻の中にある。

こうして北朝鮮は、通信の閉鎖と外部との接続という矛盾した構造の中で、国家としての自立と監視強化を両立させようとしている。ロシアとの新たな接続は、その戦略の要石の一つなのである。

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