Friday, June 27, 2025

廃プラスチック油化装置の夜明け ― KUROKI PROCESS-6 と1998年のリサイクル社会への胎動(1998年9月)

廃プラスチック油化装置の夜明け ― KUROKI PROCESS-6 と1998年のリサイクル社会への胎動(1998年9月)

1990年代末、日本は「循環型社会」への大きな転換点にあった。バブル経済の崩壊後、経済再建と同時に持続可能性への関心が急速に高まり、1997年には京都議定書が採択された。国際的にも温室効果ガスの削減が問われる中で、国内では廃棄物の削減と資源再生が喫緊の課題となりつつあった。こうした背景のもと、1997年に「容器包装リサイクル法」が完全施行され、廃プラスチックの再資源化が制度として組み込まれるに至った。

その制度的変化に呼応するかのように、脚光を浴び始めたのが「油化技術」である。使用済みプラスチックを高温で熱分解し、炭化水素油として再生させるこの方法は、焼却のようにダイオキシンやNOxを排出せず、資源を循環させる「理想的な技術」として注目された。

しかし、理想には困難がつきまとう。既存の装置では塩素系プラスチックの混入によって炉の腐食が進み、分別の手間や維持費用が大きな障壁となった。また、再生された油の市場価格は1キログラムあたり70〜100円に及び、当時のA重油(約30円)に比べて経済性に乏しかった。97年度の調査でも、有償での販売に成功していた油化業者はわずか3社しかなかった。

このような苦境の中で、鮮烈な存在感を示したのが大阪府吹田市の日邦産業が開発した油化装置「KUROKI PROCESS-6」である。スクリューボンプとスクリュードラムを組み合わせた独自構造により、450度以上の高温分解を可能とし、熱分解油の収率は驚異の97%以上。副生成物のカーボンも1%以下と優秀で、しかも自動排出が可能なため連続運転に適していた。さらに処理コストも100kg/hで30円/kg以下、最大能力時には18円/kgと、天然油を凌駕する水準に達した。

だが、技術だけでは持続可能な事業にはならない。本稿で示唆されたのは、中小企業や自治体が協同組合方式で装置を共同所有し、安定した廃プラの供給体制と、再生油の販売網を確立するという新たな運営モデルだった。これは、従来の単独導入型モデルからの脱却を意味しており、地域循環経済への架け橋として注目された。

また注目すべきは、同時期に国立の資源環境技術総合研究所と三井石炭液化が行った「熱硬化性樹脂」の油化技術の開発である。フェノール樹脂やユリア樹脂といった、従来リサイクルが不可能だった素材を液相分解によって油化することに世界で初めて成功し、将来的には廃油を溶剤として用いることで、廃プラと廃油を同時に処理する技術の確立も視野に入っていた。

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