Thursday, April 30, 2026

■クリーンエネルギーとして、太陽光と並び注目されているのが風力発電です。

■クリーンエネルギーとして、太陽光と並び注目されているのが風力発電です。 新エネルギー・産業技術開発機構によれば、日本における開発可能な風力の資源量は2500万キロワットにも及び、これをすべて利用すると日本の年間発電量の20%をカバーできると言われています。 この風力発電では近年、村おこしの側面も含め、一部の地域で大規模設備による売電事業なども盛んになりつつあります。 しかし、その一方で、太陽光発電のように家庭や商業ビルなどで小型風力発電機を設置する例はまだまだ少ないです。 助成制度の未整備などが大きな要因ですが、小型風力発電装置を扱っている国内メーカーが少ないということも一つの理由と言えるでしょう。 そうした中、今回紹介するゼファー株式会社では、98年1月に小型風力発電システムの販売を開始して以来、累計15,000台以上の出荷実績を誇っています。 マーケティング部の佐倉猛さんにお話を伺いました。 ●小型風力発電はベンチャーにも参入のチャンスがあります。 同社は再生可能エネルギーに関連した製品を扱う会社として97年6月に設立されました。 アンプなどを手掛けるサンスイ電機で社長を務めていた伊藤瞭介さんが退社後、以前から興味のあった自然環境関連のビジネスを手掛けたいと模索する中、仲間3人と立ち上げた会社です。 再生可能なエネルギーといっても太陽光や水力、風力などがありますが、その中からまず風力を選んだ理由は、「太陽光発電や太陽熱利用はすでに大手メーカーも多数存在しており、ベンチャー企業として参入するには不利な部分があります。 一方、水力発電も河川では水利権などがあり一部分の対象に向けてしか商売になりません。 そこでまだ大手メーカーの参入も少なく、また風に対しては規制などの縛りもないことから、小型の風力発電機をターゲットとしました」。 会社設立から製品がマーケットインした98年1月までの準備期間として7カ月を費やしました。 この間に、マーケティングや製品開発などを行ないました。 同社の小型風力発電機本体のベースとなっているのは、米・サウスウエスト社(アリゾナ州)のマイクロ風車(アルミダイキャスト製、風速12.5m/s時定格出力400W)です。 ゼロからの設計も考えましたが、資金的な問題はもちろん、なによりも耐久性や安全性などノウハウの部分で時間がかかりそうだったため、市場中のさまざまなメーカーの製品を比較し、すでに世界各所で2万基の実働実績を持つサウスウエスト社のものを選択しました。 また、小型風力発電機は町中や一般の家に設置することも多いため、外観やフォルムにもこだわりたかったです。 そういった面でも、このマイクロ風車はぴったりでした。 ●日本向けに仕様変更、パッケージ化して販売サウスウエスト社では、風力発電機本体のみを製造しており、買ったその日からすぐに使えるようにコンポーネント化して販売しているわけではありません。 それを組み立てていない状態で輸入し、さまざまな工夫を凝らしてゼファー仕様として販売しています。 「日本でも商社的にサウスウエスト社から本体を輸入し、そのまま販売しているところもありますが、システムの構築や製品保証、そしてアフターサービスの点でアドバンテージはあると思います」。 同社で主力として販売しているEC0-10、20、30、40、50は風力と太陽光をハイブリッドしたシステムです。 風力発電機、単結晶シリコン太陽電池モジュール(シーメンス社製)、発電した電気を蓄電するバッテリー、コントローラ、高効率インバータ、エコ発電の電気が不足した場合に商用電気に自動的に切り替えるスイッチングシステム、各発電機を屋根に設置するためのルーフタワーなどで構成され、設置したその日から発電できるようにパッケージ化されています。 例えば1システム43万4000円のEC020は、風力発電400Wに、太陽電池モジュール1基を加え定格出力は455Wです。 1日6m/s8時間、太陽電池モジュール190Wh(1日平均)の場合、実効発電量は20kwhになります。 最大のEC0-50(210万6800円)では風力発電機4基、太陽電池モジュール8基で定格出力は2040Wにもなります。 「時期によっては風があまり吹かない時もありますし、また夜は太陽光発電はできません。 しかしハイブリッドすることで互いに欠点を補いあうことができますので、長いスパンでみれば効率的だと思います」。 また、もともとの製品はアルミがむき出しの状態で、使っている内に白いサビなどがでることがありました。 また日本は地方や四季によって雪や雨など天候が厳しいところもあります。 そのため日本独特の設置環境を配慮し、特殊フッ素樹脂系塗装(四フッ化モノマー)を3層に塗布しています。 防着氷雪、耐塩、耐酸性雨などにも効果を発揮します。 一方、風力発電というとプロペラの風切り音などが気になるところですが、同機はもともとプロペラの幅が小さいため、周辺で木々がざわめく音と同じくらいのレベルで不快感はありません。 その上でさらに、本体の中の発電機が回転する際に発する低い唸り音についても、本体とそれを固定するマストとの間に、新幹線の枕木などに使われている硬質ゴムで作られたゼファーオリジナルの防振カプラーを挟んでいます。 また屋根に設置する場合には屋根との間にも同様な材質でできた防振インシュレーターを入れ、共振を抑えています。 「とはいっても、台風などの場合にはかなり回転数が上がりますので音はします。 そういった場合にはコントローラで強制的に回転をゆっくりにすることもできます」 ■99年9月からは、製品に対する施設賠償責任保険サービス「エコ保険」も導入しました。 住友海上火災保険と提携したもので、台風などで装置が破損し第三者に損害を与えた場合、1件につき最高5000万円までを保証します。 保険料は初年度はゼファーが全額負担し、2年目以降継続する場合はユーザー負担となります。 「今後市街地に設置するケースがますます増加するとの判断から。 これまでこうした事故が起きたことはありませんが、万が一に備えての安心感も普及拡大の一因となるのではないでしょうか」。 船舶「モルツマーメイド2世号」にも同社の風力発電機が搭載されています。 当初は家庭向けの販売が多かったですが、最近では業務用が出荷台数の6割近くを占めるとのことです。 また、1カ所で10基、20基とまとめて設置するケースも多くあります。 先日も宮城県にある遊園地「天使ランド」に30基を納入しています。 官公庁では事前にどれだけ発電するのか目安として提示して欲しいという場合もあり、そうした際には気象庁の風況データを利用して算出するなどの対応もしています。 導入の動機としては、業務用であればイメージアップ効果を狙ったもの、家庭向けではガーデニングの照明電源、オーディオの電源といった趣味の部分で導入することが多いです。 また最近、業務用、家庭用ともに増えているのが独立型の緊急用電源としてのニーズです。 「実際、トルコや台湾での大震災以降、とくに東海地方からのお問い合わせが急増しています。 炊飯器を動かせるようにバッテリー、インバータの容量を大きくしたいという要望もありました」。 地域的には風況に優れ、一戸建ての比率も多い北海道、九州地区での導入が目立っています。 販売開始から1年半以上が経過し、認知度が高まってきたこともあり、クライアントの方からの問い合わせも増えていますが、特約店契約を結んだ全国60店以上の販売チャンネルを持っており、今後も増やしていく予定です。 そのほか、東急ハンズなどでキットとしての販売もしており、日曜大工感覚で購入し、自分で組み立て設置する人もいます。 ■今のところ、町中で小型風力発電機が動いているのを目にすることはほとんどありません。 しかし、能力的にも、価格的にも風力発電は太陽光発電と同等の可能性を秘めています。 同社のようにハイブリッドすることで、お互いの欠点を補い合い能力を高める方向でいけば、太陽光発電と合わせて普及していく可能性は十分にあります。 いまだ本格的に事業展開する企業が少ない小型風力発電機の分野で、同社は着実にその地位を固めつつあります。

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