糞尿は土に還るはずだった 1970年代から2000年代の畜産と水環境
1970年代から2000年代にかけて、日本の畜産は食生活の変化と需要拡大を背景に急速に大規模化した。従来、家畜排せつ物は農地に還元される肥料として地域内で循環していたが、飼養頭数の増加により発生量が土地の受容量を超え、適切な処理が追いつかなくなった。その結果、糞尿の野積みや簡易貯留が常態化し、降雨時には未処理排水が地下水や河川へ流出した。とくに硝酸性窒素による地下水汚染は農村部で深刻化し、井戸水の飲料利用や乳幼児の健康リスクが社会問題となった。また河川や湖沼では富栄養化が進み、藻類の異常繁殖や生態系の劣化が長期化した。1999年に家畜排せつ物法が制定され、処理施設整備が義務化されたものの、高額な投資負担や担い手不足により対応は遅れがちだった。この問題は、資源循環という
理念と過剰生産型畜産構造の矛盾を示し、環境負荷が地域に蓄積される構造的課題として現在も影を落としている。
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