2024年7月18日木曜日

炭化炉 2002.02(96)

 

はじめに

近年、廃棄物焼却に関する規制が厳しくなり、ダイオキシン類対策特別措置法や廃棄物処理法の改正が進んでいます。一方で、資源循環型社会を実現するための様々なリサイクル法が制定され、最終処分場の規制強化に伴い廃棄物処理のコストが急騰しています。焼却や埋立からリサイクルへの転換が強く求められています。

この流れに沿って、有機廃棄物(建設廃材、食品廃棄物、汚泥、家畜排せつ物など)を単純焼却する代わりに、炭化という新しいリサイクル手法が注目されています。

炭化炉の現状と開発の方向性

炭化の典型例は木炭の生産です。従来の炭焼き技術(例:月釜、プロク炉)、平炉、スクリュー炉、回転炉、流動床炉などが使用されています。しかし、これらの技術は、廃棄物焼却の代替として炭化設備を使用する場合、ダイオキシンの問題が避けられません。

リサイクルを目的とした炭化設備には、高品質の炭化物を低コストでダイオキシンを生成せずに得る方法が求められます。つまり、炉は密閉され、酸素が供給されず、高温で蒸し焼きにしながら均一に炭化を進める必要があります。この要件を満たす最も広く使用されている炭化設備は回転炉です。回転炉法では、材料を回転する円筒炉に入れ、内部または外部からの熱で炭化させます。

炭化炉の利点と市場性

炭化プロセスの利点には以下があります:

  1. 原料の有機物を燃料に変える乾留ガスから炭化に必要な熱が得られ、燃料を節約できる。
  2. 構造がシンプルで機械部品が少なく、故障が少ない。
  3. 炉の密封技術が高度であるが、ダイオキシン除去システムやストーカーが不要で、設置スペースや設備コストに優れている。
  4. 原料が回転炉によって均一に炭化される。

この分野の基本技術が確立されているため、多くの企業が炭化設備市場に参入し、規模が10kg/日から数十トン/日までの設備が開発されています。木材廃材、食品廃棄物、汚泥、家畜排せつ物など、様々な有機廃棄物の炭化プロセス例と市場性が見られます。

木炭市場の拡大

木炭の用途が拡大していることが炭化技術への関心を高めています。木炭は空気や水中の臭気物質や汚染物質を吸着し、土壌改善剤としての機能を持ち、土壌微生物の増殖や通気性、水の浸透性を向上させます。また、シックハウス症候群の原因とされる揮発性有機化合物の吸着能力も確認されています。

木材廃材や剪定枝、おがくず、製材端材などからの炭化製品は、従来の木炭製品の代替品として高付加価値で広く利用されています。飲料水、寝具、消臭、防湿剤、入浴剤、土壌改良剤、建材、緑化事業など、さまざまな用途に期待されています。

建設廃材の炭化

建設廃材は、元々の木炭の原料に最も近い材料であり、リサイクルの可能性が未開拓な最大のビジネスチャンスを提供します。建設材料リサイクル法の完全施行により、この流れはさらに加速するでしょう。

炭化プロセスの採用により、建設廃材の再利用が促進され、燃料チップ、製紙・合板用チップの価格低下などの課題に対処する新たな応用が急務です。木材廃材の炭化プロセスが確立されつつあり、多くの企業がこの分野に参入しています。

まとめ

炭化は、有機廃棄物のリサイクルの新しい方向性として注目されています。炭化炉の技術進化と市場の拡大により、廃棄物処理のコスト削減とリサイクルの推進が期待されています。特に木材廃材や食品廃棄物、汚泥、家畜排せつ物の炭化は、その商業的価値が高く、リサイクルビジネスの確立に寄与しています。今後、さらに多様な有機廃棄物の炭化技術の開発と応用が進むことが期待されます。

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