2024年7月20日土曜日

富山市エコタウン事業 2002.08(97)

富山市は2002年5月に経済産業省と環境省からエコタウンプランの承認を受け、市内の北部工業団地跡地を活用してエコ産業団地の造成に着手しました。このプロジェクトは、地域資源を最大限に活用し、環境負荷の少ない持続可能な産業モデルを構築することを目指しています。

ハイブリッド型廃プラスチックリサイクルシステム
富山市エコタウンの中心となる事業の一つに、「ハイブリッド型廃プラスチックリサイクルシステム」があります。このシステムは、北陸電力を中心に設立される新会社「株式会社プリテック」が運営します。地元企業が共同出資しており、主要な参加企業には佐藤鉄工、タカギセイコー、丸喜産業、トナミ運輸が含まれます。これにより、地域のノウハウやインフラを活用して効率的なリサイクルシステムを実現しています。

このリサイクルシステムでは、使用済みプラスチックを高温で処理し、再生プラスチック原料として利用可能なペレットを製造します。主な生成物としては、ポリスチレン、ポリエチレン、混合プラスチックのペレットがあり、年間3120トンの生産を見込んでいます。これらは地域内のプラスチック加工業者に供給され、安定した循環利用が可能となります。

木質系廃棄物リサイクル事業
富山市エコタウンのもう一つの柱は、木質系廃棄物のリサイクル事業です。これは、街路樹の剪定枝や建設現場から出る廃木材、ダムの流木などをリサイクルし、燃料用木炭や土壌改良材、水質浄化用木炭などに加工するものです。このプロセスでは、高温炭化炉を使用して木質系廃棄物を処理し、様々な用途に応じた製品を製造します。

これにより、廃棄物の減量と資源の有効活用が図られ、地域の環境負荷を軽減することができます。また、製造された木炭製品は地域内外で販売され、経済的な利益をもたらすとともに、環境保全にも寄与しています。

生ごみリサイクル事業
さらに、富山市エコタウンでは、事業系生ごみや食品残さのリサイクルも推進しています。これらの有機性廃棄物は、高温炭化炉で処理され、燃料や肥料、土壌改良材として再利用されます。このリサイクルプロセスにより、生ごみの減量と有効活用が実現し、地域の環境負荷が大幅に軽減されます。

特に、高温炭化炉で生成された燃料用木炭は、地元の農業や園芸分野で利用され、持続可能な農業の推進に貢献しています。また、土壌改良材として使用されることで、農地の質の向上や水質浄化にも役立っています。

アジアへの展開と国際連携
富山市エコタウンは、国内市場だけでなく、アジア地域への展開も視野に入れています。富山港からはロシアや韓国、中国などへのコンテナ航路が就航しており、これらの国々との経済連携が進められています。また、北西太平洋地域行動計画(NOWPAP)の本部事務局が富山市に設置される予定であり、国際機関との協力を通じて環境技術の普及と人材交流が進められています。

富山市は、ISO14001の認証を取得し、環境を軸とした地域振興策を積極的に推進しています。このような取り組みにより、富山市エコタウンは持続可能な地域経済のモデルケースとして注目されています。

経済的効果と今後の展望
富山市エコタウン事業は、総事業費約14億円で、施設建設費の50%はエコタウン・ハード補助金で賄われ、残りは市の補助金と民間の出資でまかなわれます。事業開始から3年後には単年度黒字を見込み、7年後には累積赤字の解消を目指しています。

この事業により、地域の廃棄物処理能力が向上し、リサイクル率の向上と廃棄物の減量が実現されます。また、地域内の企業間の連携が強化され、新たな産業クラスターの形成が期待されています。エコタウン事業は、地域経済の活性化と環境保全の両立を目指すモデルとして、他の自治体にも波及効果をもたらすことが期待されています。

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