2024年7月26日金曜日

超臨界水技術 2003年6月107

### 超臨界水技術

#### 概要
超臨界水技術は、環境分野で注目されている先端技術の一つです。超臨界水とは、臨界温度と臨界圧力を超えた状態の水のことで、通常の水とは異なる特異な性質を持ちます。臨界温度は374°C、臨界圧力は22.1MPaであり、この条件下で水は気体と液体の両方の性質を兼ね備えた超臨界状態になります。

#### 特性
超臨界水は、非常に高い溶解能力を持ち、通常の水では溶けない有機物や油脂などを溶解することができます。また、誘電率やイオン積が調節可能であり、反応条件に応じて酸触媒やアルカリ触媒の役割を果たします。このため、化学反応の場として非常に優れた特性を持っています。

#### 応用例
1. **廃棄物処理**
超臨界水は、難分解性の有害物質(例:ダイオキシンやフロン)の分解に利用されます。高温高圧の環境下でこれらの物質を完全に分解することが可能で、二次汚染のリスクが少なく、安全かつ高効率な処理方法として注目されています。

2. **プラスチックのケミカルリサイクル**
プラスチックのリサイクルにおいても、超臨界水は重要な役割を果たします。従来の方法では触媒や添加物を必要とし、その回収が課題となっていましたが、超臨界水を用いることで、触媒不要で効率的にプラスチックを分解し、モノマーを回収することができます。これにより、再資源化が促進され、環境負荷の低減が期待されています。

3. **バイオマスの処理**
ビール製造由来のバイオマスなども超臨界水を利用して処理されます。高温高圧の超臨界水環境下でバイオマスを加水分解し、有価物質を効率的に抽出することが可能です。

#### 具体的事例
**オルガノ株式会社**では、超臨界水酸化装置の実用化を進めており、日本製鋼所と共同で北海道室蘭市にて超臨界水酸化装置の稼働を開始しました。この装置は、低環境負荷で効率的に有害物質を分解する能力を持ち、今後さらに広範な応用が期待されています。

この技術は、従来の化学反応や廃棄物処理の方法に革命をもたらし、持続可能な社会の実現に向けた重要なツールとなるでしょう。

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