2024年7月24日水曜日

環境技術 2003年3月(104)

環境技術・グリーンテクノロジー 2003年3月
1 メタンハイドレートの実用化
メタンハイドレートは、氷の中にメタン分子が閉じ込められた物質で、海底や永久凍土に大量に存在しています。これは、新しいエネルギー資源として注目されており、特に日本ではその埋蔵量が豊富であるとされています。経済産業省の調査によれば、日本周辺海域には、国内消費天然ガス量の100倍以上のメタンハイドレートが存在すると推定されています。

技術開発と商業化の目標
メタンハイドレートの商業化を目指して、技術開発が進められています。2016年までに商業化を目指しており、採取・製造・輸送・利用に関する技術が実用化されれば、経済的な回収が可能となります。日本政府はこの技術の開発を支援しており、資源エネルギー庁の関係予算においても、天然ガスシフトの加速化として多額の資金が投入されています。

採取技術の開発
メタンハイドレートの採取には、海底からのガスの抽出技術が必要です。このため、様々な試験が行われています。例えば、2002年には海底からメタンハイドレートを採取するための試験が実施され、成功を収めました。これにより、商業化に向けた技術の基礎が築かれました。

環境への影響と対策
メタンハイドレートの採取と利用においては、環境への影響も重要な課題です。メタンは強力な温室効果ガスであるため、その漏出を防ぐことが求められます。このため、採取技術の開発においては、環境保護の観点からも慎重な対応が必要とされています。また、採取過程での海洋環境への影響を最小限に抑えるための研究も進められています。

商業化に向けた展望
メタンハイドレートの商業化が実現すれば、日本のエネルギー自給率の向上に大きく寄与することが期待されます。現在、天然ガスの多くを輸入に依存している日本にとって、国内での安定したエネルギー供給源を確保することは非常に重要です。さらに、メタンハイドレートの開発は、新たな産業の創出にもつながる可能性があります。

まとめ
メタンハイドレートは、将来的なエネルギー資源として非常に有望です。技術開発が進む中で、その商業化が実現すれば、日本のエネルギー政策に大きな変革をもたらすでしょう。しかし、環境への影響にも十分に配慮しながら、持続可能な形での開発を進めていくことが求められます。

2 廃ガラスびんを原料とした多孔質軽量資材の開発
廃ガラスびんを原料とした多孔質軽量資材の開発は、沖縄県を拠点とする株式会社トリムによって行われました。この技術は、廃ガラスびんを再利用して多孔質軽量資材を製造するもので、環境保護と資源の有効活用を目的としています。日本で年間に生産されるガラスびんは約180万トン、そのうちの多くは再生が進んでいますが、一部のガラスびんは再資源化が進んでいません。

技術開発の背景と目的
この技術開発の背景には、沖縄県内で大量に発生する廃ガラスびんの処理問題があります。廃ガラスびんは、運送コストの問題から再生が困難な場合が多く、埋め立て処分されることが多い現状があります。株式会社トリムは、この問題を解決するために廃ガラスびんを資源として捉え、新しい産業の創出を目指しました。

開発された技術とその特徴
株式会社トリムは、廃ガラスびんを利用した多孔質軽量資材の製造法を開発し、1998年に商品化に成功しました。この資材は、軽石状の軽量発泡資材であり、水はけが良く、熱や油・薬品に強く、流動性があり施工性に優れているという特徴があります。また、比重0.3~1.2程度に調整可能で、用途に応じて使い分けができるなどの機能性も備えています。

商業化と地域への影響
株式会社トリムは、沖縄県内で廃ガラスびんを再資源化するための施設を整備し、地域完結型のリサイクルシステムを構築しました。このシステムにより、廃ガラスびんの発生現場での処理が可能となり、運搬コストの削減にもつながりました。さらに、この技術は全国的に注目を集めており、他地域への展開も期待されています。

3 燃料電池車の開発と普及
燃料電池は、化学反応を利用して電気を生み出す装置であり、環境に優しい次世代のエネルギー源として注目されています。特に、自動車分野では燃料電池を搭載した燃料電池車の開発が進められており、トヨタ自動車とホンダから燃料電池車が相次いで発売されました。

技術開発と目標
燃料電池車は、水素を燃料として空気中の酸素と反応させて電気を生成し、その電気でモーターを動かして走行します。この技術は、従来の内燃機関に比べて排出ガスがなく、環境に優しい点が特徴です。日本では、2005年から5万台、2010年には500万台の燃料電池車の普及を目指しており、水素供給インフラの整備も進められています。

環境への影響と普及の課題
燃料電池の普及には、燃料である水素の供給インフラの整備が重要です。また、水素の製造・輸送・保管に関する技術も進展しており、燃料電池車の普及に向けた取り組みが加速しています。トヨタとホンダの競争により、燃料電池車の技術はさらに高度化し、環境負荷の少ない新世代のエネルギー源として期待されています。

4 土壌汚染リスク調査の市場拡大
土壌汚染リスク調査は、2003年に施行された土壌汚染対策法により、土地の利用や取引において重要な役割を果たしています。この法律により、工場敷地などの有害物質を使用していた土地の調査が義務付けられ、土壌汚染に対する関心が高まっています。

調査技術と市場の動向
土壌汚染リスク調査には、地歴調査やヒアリングなどの簡易調査が活用されています。また、指定調査機関の登録も進み、土壌汚染リスクの評価や管理が体系的に行われるようになりました。不動産鑑定評価基準の改正や減損会計の導入も、土壌汚染リスク調査市場の拡大に寄与しています。

簡易リスク調査の需要
土壌汚染リスク調査の市場は、2003年以降活発化しており、特に都市部においては、不動産取引の際に土壌汚染リスクを評価するための簡易調査の需要が高まっています。これにより、調査業者や技術開発企業による新たなビジネスチャンスが生まれ、環境保護と経済活動の両立が図られています。

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