2024年7月9日火曜日

有害物質に関する一律排水基準 2001 02 79

 有害物質に関する一律排水基準


「公共下水道や流域下水における下水処理方法」は、有機物の除去を主体とする微生物利用の浄化法が中心で、それ以外の有害化学物質などの多くは処理しきれないことが多い。そのため「下水道法」では、工場や事業所などから排出される産業排水のうち、終末処理場で処理できない物質については、終末処理場の放流水の水質基準とほぼ同等の基準にしてから下水に排水することと定めている。


環境に著しく悪影響を及ぼす物質について「一律基準」を設けている「水質汚濁防止法」は、1970年の制定以来、新たな規制物質の追加、それに伴う特定施設の範囲拡大など年々強化されてきた。企業側としても、近年の工業用水の逼迫や地盤沈下防止のための地下水取水制限、総量規制に伴う放流水量制限などに対応する動きが活発化している。今までは放流水基準値に処理するだけだったものを、さらに脱塩などの高度処理を施し、排水を回収再利用するといった動きが出てきた。結果的に排水や排水中の有価物を再利用することで経費の削減にもつながり、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムの一環としても取り組みが進んでいる。


「産業排水に対する規制」は今後も益々強化されることは間違いない。これまで規制対象外だった物質の中には環境ホルモンの疑いのあるものもあり、今後、生物への影響の因果関係が解明されるにつれ、その対応に迫られることになる。


「一律排水基準」

これまで水質汚濁防止法における指定有害物質以外に関する排水規制の対象外だった1日平均排水量が立方メートル未満の小規模事業場。こうした小規模事業は全国の事業所の9割を占め、未処理のまま河川などに放流される排水は大きな問題となっている。しかし近年、すべての都道府県が国の基準よりも厳しい「上乗せ基準」を設けるなど規制強化の方向で進んでいる。2000年10月には中央審議会水質部会排水規制等専門委員会において、フッ素、ホウ素、硝酸・亜硝酸性窒素などの有害物質についての排水基準が定まった。環境省では関連政令を改正して01年春にも施行する意向だ。


「第5次総量規制」

広域的な閉鎖性水域の水質改善を図るためには、その水域に流入する汚濁負荷量の総量を効果的に削減することが重要である。そのため78年の水質汚濁防止法の改正において水質総量規制制度が設けられた。従来の排水規制だけでは環境基準を維持達成することが困難な東京湾・伊勢湾・瀬戸内海を指定水域とし、1979年以来、COD(化学的酸素要求量)を指定項目として、83年度、88年度、93年度、98年度を目標年度とする総量規制が4次にわたって総量規制を実施してきた。環境省の99年度公共用水域水質測定結果でも、カドミウムやシアンなどの有害物質を対象とした健康項目の環境基準達成率は99.5%と、産業部門での排水処理はかなり進んでいるといえる。


しかしCODのみならず窒素・リンの環境基準の達成率」は低く、富栄養化による赤潮などが頻発しているのが現状だ。2000年10月、中央環境審議会水質部会は、この3海域の関係都道府県が独自に決める規制値の目安となる排水濃度基準の範囲を、下水道業や肥料製造業など232業種ごとに定めた答申をまとめた。


この答申は、第5次水質総量規制の目標年次である2004年度までに、新たに窒素・リンを総量規制の対象に加えるとともに、CODについてもパルプ、石油化学、発酵工業などで規制基準を強化するように求めている。答申を受けて環境省は基準範囲を告示する予定で、都道府県が実際に規制を始めるのは2001年度になる見通し。

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