北海保護会議廃棄物投棄規制強化 - 1995年8月
1995年に開かれた北海保護会議では、北海への危険廃棄物投棄を2020年までに完全に禁止することが合意されました。この合意により、現在、年間で約10000トン以上が北海に投棄されている有害廃棄物の大幅な削減が目指されています。対象となるのは、鉛、水銀、カドミウムなどの重金属に加え、PCB(ポリ塩化ビフェニル)やダイオキシンといった極めて毒性の強い化学物質です。これらは海洋生態系への悪影響が深刻で、特に漁業資源への負担が顕著です。
フランスやドイツ、デンマーク、オランダ、ノルウェーなどの北海沿岸諸国は、こうした有害廃棄物の削減目標を達成するため、2020年までに投棄量を段階的に縮小し、最終的にはゼロにする方針を固めています。一方、イギリスは国内の主要化学企業であるICL(インペリアル・ケミカル・インダストリーズ)やユニオン・カーバイド、製薬企業などの業界からの圧力を受け、投棄の完全停止に調印しませんでした。これにより、イギリスは年間約2000トンの廃棄物を引き続き北海に投棄する可能性が指摘されています。
この合意は、北海の水質改善に大きな影響を与えると期待されており、フランスとドイツでは廃棄物のリサイクル施設の整備に5億ユーロ(約650億円)の予算を計上する計画が発表されています。また、ノルウェー政府は廃棄物の処理技術開発に年1000万ユーロ(約13億円)を投入し、海洋投棄ゼロの目標に向けた取り組みを進める方針です。
このように、北海保護の取り組みは漁業資源の保護や観光業への好影響を期待される一方、化学業界には廃棄物のリサイクルや無害化処理など、持続可能な経営への転換が求められています。
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