**青森県でのリンゴかす再資源化の歴史と現状-1999年~2020年代**
青森県弘前市のダイノウは、1999年時点で果汁工場から排出されるリンゴかすを発酵堆肥化する取り組みを開始しました。このプロセスではリンゴかすにコーヒー豆のかすや米糠を混ぜ、微生物を活用して発酵処理を実施。生成された堆肥は、大規模農場「黄金崎農場」との提携により、地域農業で広く利用されました。この取り組みは、廃棄物削減と地元農業の生産性向上に大きく貢献し、青森県内での循環型農業の成功事例として評価されました。
その後、2020年代に入ると、リンゴ搾りかすの再利用技術がさらに進化しました。2020年7月には、青森県農村工業農業協同組合連合会(JAアオレン)が「グレンカル・シナリー株式会社」を設立。年間約5000トン発生するリンゴ搾りかすを低コストで乾燥させ、バイオプラスチックの原料として活用する新技術を確立しました。この取り組みは、再生可能素材の需要増加を背景に、地域資源の高度利用を実現しています。
さらに、2024年3月には、JAアオレンとJA全農北日本くみあい飼料株式会社が、リンゴ搾りかすとコンビニエンスストアから排出されるコーヒー豆かすをブレンドした飼料を開発。この飼料は青森県産の「あおもり倉石牛」の肥育に利用され、廃棄物の有効活用と地産地消を推進しています。
また、五所川原市の企業KOMORUは、リンゴ搾りかすを利用した新素材「Adam」を開発。この素材はアパレル小物や室内家具の仕上げ材として使用され、地域産業の新たな可能性を切り開いています。
これらの取り組みを通じて、青森県はリンゴ搾りかすの有効利用を進化させ、廃棄物削減、環境保全、地域経済の活性化に大きく貢献しています。その歴史は、単なる廃棄物処理から新たな価値創造へと進化し続けています。
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