東京都の中央防波堤埋立地におけるメタンガス活用プロジェクト(2024年現在)
東京都では、中央防波堤内側埋立地および外側埋立地において、埋立廃棄物の分解によるメタンガス発生を効果的に活用する取り組みが進められています。このプロジェクトは、2010年から東京都環境局が主導して開始され、温室効果ガス排出の削減と資源の有効活用を両立させています。
特に中央防波堤内側埋立地では、年間約15000トンのメタンガスが回収されており、2015年から「ガス有効利用施設」に送られ、発電に使用されています。この発電所は、年間約1万世帯分の電力を供給する能力を持ち、都市部のエネルギー需要を支える重要な役割を果たしています。さらに、2018年以降、発電の副産物として発生する余熱も近隣施設で利用され、エネルギー効率が向上しています。
この取り組みには、環境エンジニアリングの大手である日立造船株式会社が技術提供を行い、回収したメタンガスを効率的に燃焼・発電に利用する最新技術が採用されています。また、東京ガス株式会社は2020年から一部の回収ガスを精製し、都市ガスとして供給する実証プロジェクトを進めています。
一方、外側埋立地では年間約10000トンのメタンガスが発生しており、その回収率向上が課題となっています。2022年には新たな設備が導入され、2030年までに回収率を現行の70パーセントから90パーセント以上に引き上げる目標が掲げられています。この計画は、2020年に東京都が策定した「ゼロエミッション東京戦略」の一環として、温室効果ガス排出量の削減目標達成に向けた重要なステップと位置付けられています。
さらに、このプロジェクトは国内のみならず、海外の大都市へのモデルケースとして注目されています。2023年には東京都がアジア諸国との技術連携を強化し、特にインドネシアのジャカルタで同様の廃棄物処理モデルを導入する計画が進行中です。
中央防波堤埋立地の取り組みは、単なる温室効果ガス削減だけでなく、都市全体のエネルギー効率化と持続可能性の向上にも貢献する象徴的な事例といえます。
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