Friday, November 8, 2024

### 国際社会での気候変動認識の変化 - 2007年から2020年代まで

### 国際社会での気候変動認識の変化 - 2007年から2020年代まで

**2007年の転換点**

2007年、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が第4次評価報告書を発表し、地球温暖化が急速に進行し、その原因が主に人為的な活動であると断定しました。当時の大気中CO2濃度は380ppmに達し、過去の気候変動サイクル(約200~300ppm)を大きく超える水準にありました。この温暖化は、北極やグリーンランドの氷床の融解、サンゴ礁の劣化、異常気象の頻発といった、地球規模の環境変化を引き起こす可能性があるとされました。アメリカ南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」の被害(死者1800人、被害総額約1250億ドル)や、2003年の欧州熱波による70000人の死亡といった事例は、気候変動の深刻さを世界に印象付けました。

また、イギリスではスターンレビューが発表され、温暖化対策が経済に与えるインパクトが明らかにされました。GDPの1%(約67000億~98000億円)を温暖化対策に充てる必要があると試算され、放置した場合の損失はGDPの5~20%に達する可能性があるとされました。こうした報告を受けて、英国は「気候安全保障」の概念を提唱し、米国を含む国際社会が協力して気候変動に対応する必要性を訴えました。

**企業の気候変動対応の進展**

日本企業もこの動きに追随し、クリーン開発メカニズム(CDM)に積極的に参加しました。三菱商事はパキスタンで脱窒素装置を導入し、CO2換算で年間約100万トンの排出削減を目指すプロジェクトを推進し、東京電力はチリで養豚場のメタンガスを回収し、CO2換算で約200万トンの削減を見込みました。また、韓国ではイネオスケミカルがHFC23(代替フロン)を回収・破壊し、約980万トンのCO2排出権を取得しました。HFC23はCO2の11700倍の温暖化係数を持つため、この削減は極めて重要とされました。

**2020年代の現状とさらなる進展**

2020年代に入り、気候変動の影響は一層顕在化しています。2023年、中国南部では豪雨によるダムの決壊や都市の浸水が深刻な被害をもたらしました。これらの異常気象は、大気中の水蒸気量増加によるものとされ、温暖化による影響が明確に示されています。

一方、気候変動対策も進展しており、特に再生可能エネルギーの導入や温室効果ガスの削減が重点とされています。米国の太陽光パネル市場では、イスラエルの企業ルメットが新しい製造技術を開発し、韓国のハンファグループQセルズが米国ジョージア州でサプライチェーンを構築中です。また、国際エネルギー機関(IEA)は、AI技術を用いることで、建物のエネルギー消費を15~25%削減できる可能性を示唆しています。

さらに、企業の経営トップの報酬と気候関連目標の連動が進んでいます。2023年には、S&P500企業の54%が気候関連指標をCEO報酬に組み込むようになり、気候変動対策の実行力が企業の重要な評価軸となりました。

これらの取り組みを通じて、気候変動対策と経済活動の両立が一層進められており、国際社会全体での協調がますます求められています。

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