北九州市ごみ発電所の建設と2020年代の発展
1998年に稼働を開始した北九州市の「新皇后崎工場」は、国内最大級のごみ発電施設として設立されました。施設は1日あたり810トンのごみを処理でき、年間で約295650トンの廃棄物処理を実現。発電量は最大1時間あたり36300キロワット、年間で約26万メガワット時の電力供給が可能で、これはおよそ15000世帯の年間消費電力に相当します。この発電された電力は九州電力に売電され、年間約20億円の収益を見込んでいます。
この施設には、荏原製作所が提供した高効率のごみ焼却システムが導入され、廃棄物の燃焼効率が向上し、二酸化炭素排出量が従来の焼却施設よりも約30%削減されています。具体的には、年間で約80000トンの二酸化炭素排出削減が見込まれ、排ガス処理装置によりダイオキシンや窒素酸化物(NOx)などの有害物質が環境基準以下に抑制されています。また、焼却の副産物として年間約40000トンの焼却灰が発生し、建築資材や道路舗装材として再利用されており、資源の循環利用が推進されています。この施設の稼働により北九州市は、ごみの適正処理とエネルギー資源の有効活用を両立し、地域の環境負荷軽減に大きく貢献しています。
2020年代においても、皇后崎工場は最新の技術を導入し、高効率なごみ発電施設として運営を続けています。この施設は1日あたり810トン、年間約169900トンのごみを処理し、発電能力は最大17200キロワット、年間発電量は約91300メガワット時に達しています。この発電量は約25000世帯分の年間電力消費量に相当し、九州電力に年間約55800メガワット時を売電することで、年間約20億円の収益を上げています。
また、環境負荷の低減に向けた排ガス処理装置も更新され、ダイオキシン類の排出濃度は0.0016ng-TEQ/gと、法定基準値の3ng-TEQ/gを大幅に下回る水準に抑えられています。さらに、焼却灰の熱減量率は2.2%で、基準値の10%を大きく下回っており、安全性と環境負荷軽減を両立しています。
2022年にはAIを活用したごみ識別の実証実験が開始され、カセットボンベなどの危険物混入を防ぐ取り組みも行われています。このAI技術により、施設内での火災リスクが低減し、安全性の向上が図られています。こうした技術革新と地域の取り組みにより、皇后崎工場はごみ処理と発電を両立させ、地域のエネルギー供給と環境保全に大きな貢献を続けています。
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