Saturday, November 23, 2024

中国の河川汚染の歴史と��状

中国の河川汚染の歴史と現状

1980年代からの急速な都市化と工業化の影響で、中国の河川は深刻な汚染に見舞われました。特に、北京、上海、天津といった都市部の河川で汚染が顕著で、1990年代には都市部の河川の90%以上が深刻な水質悪化を呈していました。主な原因は、工場や家庭からの未処理排水が直接河川に放流されていたためで、アモニア窒素、硝酸態窒素、リン酸塩といった有害成分が基準値を大幅に超え、現地の生態系や人々の健康に悪影響を及ぼしました。

1996年時点では、主要都市での水道水が飲用基準を満たさず、特に大運河や黄浦江などの河川では工業排水の影響で重金属が検出されるなどの問題が発生。政府は化学工場の移転や閉鎖、浄化施設の設置を進めましたが、依然として水質の根本的改善には至りませんでした。

2020年代に入ると、中国政府は河川汚染対策をさらに強化しました。2020年には全国337都市でのモニタリングにより、主要汚染物質の基準達成率が599%に達し、前年より改善が見られました。また、地表水の優良水質割合は834%に上昇し、劣Ⅴ類水質の割合は06%にまで低下。しかし、地下水の汚染は依然として深刻で、自然資源部門の調査によれば、地下水のうちⅠ~Ⅲ類(飲用水源適正)の割合はわずか136%にとどまり、約688%がⅣ類、176%がⅤ類とされています。水利部門の別のモニタリングでも、地下水の劣悪な水質が報告されています。

こうした状況を受け、中国政府は「南水北調プロジェクト」を推進。南部の水を北部に供給することで水不足と水質汚染を緩和する試みを行い、2021年末までに総取水量は約494億立方メートルに達し、1億4000万人が恩恵を受けています。北京市は市街地の給水の7割以上を「南水」に依存し、天津市中心部もほぼ全てを「南水」による供給に頼っています。

それでも、工業や都市の排水による河川の汚染は根深く、特に工業地帯では河川汚染が依然として課題です。中国の河川汚染対策は一定の成果を収めてはいますが、持続可能な水資源管理と厳格な環境保護施策が引き続き求められています。

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